Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
 「私は普通に目立たず生活したいんです。面倒くさい事は避けたい。それが理由です」

私は仕事さえしてれば何も言われないと思ったのに面倒くさいな…
欲しいのは生徒会の特権だけなのに。

 「それに、私は人に深く関わりを持ちたくないんです。
特に、この学校の人気を占める貴方がたには」

そう、学校の的でもある貴方たちに私は近づいてはいけない。
この人たちを傷つけてしまえば、この人たちを好きな人たちまで傷つけてしまう。

 「心配はいりません。仕事はちゃんとしますから」

私にできる最低限は任された仕事をきちんとこなすことだけだ。

 「自分が傷ついても、相手の心配か?」

…さっきその話は終わったんじゃなかったんですか
別に自分が傷つくのはどうってことないと思う。
今回は相手が全て悪い訳でもないしね。

会長は私の瞳をじっと見てくる。

 「…えぇ、そうです。これで、話は以上ですか?終わったのならば授業に戻らさせていただきます」

 「まだ話は全て終わっていない。お前はなんでそこまでして他人に気を向ける」

「それが自分にできる唯一のことだからです」

私にはそれしかできないんだから。
…もしかしたらそれすらも出来ていないかもしれない
あぁ駄目だ…これは考えたってきりがない

そのまま立ち尽くすようになってしまった私は気が付かなかった。
いつの間にか目の前には会長が立っていたことに。

一歩下がろうとする前に、頭に重みが掛かる。

 「悪い…言いすぎた」

 「いえ…」

私の頭を撫でる手は直ぐに離れていった。
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