Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
 
 「「ねぇねぇ!」」

ギュッと両サイドから挟まれる。

 「抱きつかないでくださいって前にも言いましたよね?お2人さん」
 
 「むぅー!名前で呼んでよ」

 「坂岸兄弟」

 「下の名前で呼んでほしいのー!」

 「離てくれたら呼びますよ?」

 「「呼んでくれたら離してあげるー!」

…面倒くさいな

 「空斗さん、海斗さん」

 「同い年なんだから君付けか呼び捨てがいい!」

 「我儘」

 「「なーに?聞こえなーい」」

同い年でも男子の名前何て呼んだだことあるのは蓮花の彼氏ぐらいだ。
そう考えると名前を呼ぶだけなのに何だか緊張する。

 「…空斗…海斗」

顔をそれぞれ見て呼べば彼らは更にギュッと抱きつき顔を押し付ける。

 「ちょっと!言ってた事と違うじゃない」

 「「やっと名前呼んでくれたね!」」

顔を上げたと思ったら満面の笑みで微笑まれる。
悪気のないその姿にこちらまで自然と頬が緩んだ。

 「お前はそうやって笑っていろ。それがお前の初仕事だ」

「えっ?…はい」

急に会長に話しかけられ、驚いたものの会長の表情を見て頷いてしまった。

…あんな優しい顔出来るんだ
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