Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
用意された席に着けば書類のホチキス止めを指示される。

早く終わらせてしまおうと私はすぐに取り掛かった。

室内にはパソコンや電卓を叩く音がそれぞれ鳴り響いていた。

半分ぐらい終わらせるのに1時間半も掛かってしまった。
量が多くて大変だけど仕事だからしょうがない。

ぐっと伸びをした直後、ギューッと抱きつかれる。

 「「刹那ちゃん、刹那ちゃん。」」

全くこの双子は…
あれほど抱きつくなと言っているのに。

 「抱きつくの禁止。何か用ですか?」

さっきまで静かにしていたじゃない。
何で私が休憩してるときに来るのよ…

ムスッとする私に対し、彼らはなんの悪びれもなく言ってのける。

 「「つまんなーい!!」」

…はい?

 「仕事は終わったんですか?」

 「終わってない!」

 「やっても減らない!」

仕事しなさいよ…
遊んでたから終わらないんでしょうが…

 「あとどれくらい残っているんですか?」

私の言葉に席を指さす。
そちらに目を向ければ最初に配られたプリントの束がそのまま置かれているように見えた。

私はそっと席を立ち私に抱きついてきている双子をズルズルと引きずりながら
彼らの机に向かう。

重たいけど、私についてくる気はあるようだ。
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