Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
ひとまず彼らを席に着かせる。

 「空斗も海斗も生徒会に選ばれたんだからちゃんと責任感を持つべきですよ。ちゃんと仕事してください」

 「「でも…」」

彼らはしょぼんと肩を落とし俯いた。
その姿は小動物そっくりでつい甘やかしそうになるが我慢する。
彼らの為にならなければ意味がない。

 「先輩方を見てください。ちゃんと仕事してるでしょ?」

私の言葉で双子はキョロキョロと先輩たちを見渡す。

 「ちゃんとお仕事できますよね?」

私がそう問いかけると、彼らは揃ってコクリと頷く。

彼らの頭を撫でれば嬉しそうに微笑んでいた。

自分の席に戻り、作業を再開する。
ふと視線を感じ、その方向を見ると会長を目が合った。

 「どうかなさいましたか?」
 
 「お前、変わってるな」

 「貴方に言われたくありません」

もう厄介ごとに巻き込まれたんだ。
失礼なことを言ってもいいだろう。

 「そんな口きくのはお前ぐらいだ」

クスリと笑う会長。
そりゃ他の生徒が言うわけないでしょうよ。
貴方たちはアイドル的存在なんだからさ。
…性格悪いけど

 「そんな顔するなって」

真顔で会長をじっと見ていたらそう言われた。
何か言い返そうとしたが、会長は手元の書類に目を移したので私は口を閉じた。
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