Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
蓮花は泣き止むといつもと同じ笑顔を私に向けてくれた。
コンコンと控えめなノックの後に顔を覗かせたのは太一だった。

 「蓮花、一条」

 「ごめん、太一。蓮花を泣かせた」

 「今回はこれで許してやんよ」

太一は私の頭をコツンと叩く。
彼は本当に優しい人だ。
だからこそ、蓮花と結び付けてあげたんだけど…
それはもう昔の話ね。

 「話聞いてたんでしょ?」

 「あぁ。蓮花は俺が守るから安心しろ」

 「流石、彼氏さんね」

 「お前こそ、気を付けろよ」

 「ありがとう」

 「さて、帰るぞ」

 「じゃあね太一、蓮花」

私は2人に手を振った。

 「刹那は?」

 「…まだ仕事があるのよ」

 「そっか、仕事頑張って!また明日ね」

仕事なんてないけれど、もう私と一緒にいない方がいい。

太一が何か言いたげに見てきたけど、
私を笑顔で手を振り2人を見送った。
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