Memorys ‐過ぎ去りし時間‐

　「…理由教えて」

私は涙を拭いながら聞く。
泣いてちゃダメだ。
私が泣くからあんな顔させちゃうんだ。

　「言ったら約束守ってくれる？」

　「･････････わかった」

本当は嫌だけど…
刹那が本当にそれを望むのなら私はそれに従う。
だってこうなった刹那は誰が何を言おうが聞かない頑固者だから…

　「巻き込みたくないの。蓮花は優しい子だから私を守ろうとするでしょ?蓮花に傷ついてほしくない」

やっぱりそうなんだね…

迷惑だなんて思わないのに。
むしろ刹那と一緒に乗り越えたいのに…
彼女はそれを許してはくれないんだ。

　「迷惑だなんて思ったこと一度もないっ！私は…」

　「これでおしまい。約束したでしょ」

　「……」

私がもっと賢かったら刹那を独りにさせなかったのに…

悔しくて涙が滲む。

　「ごめんね。たくさん泣かせちゃた」

　「刹那」

　「蓮花には太一が居るもの独りじゃないわ」

そうじゃない…

伝えなくちゃと駄目だと思うのに、
焦りで言葉にならない。

　「ばいばい」

刹那の背中が遠ざかっていく。

私は泣くことしたできなかった。
私が強かったら、彼女を守れた?彼女と一緒に立ち向かえたのかな？

いや、それは違うか…
私がいくら強くても彼女は一人で背負い込んでしまうんだから。

”あの時”だってそうだったじゃないか…