Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
瀬口先輩と坂岸兄弟はお弁当。
会長、副会長は購買で買ったらしきパンが机に置かれた。

私はさっき買った、のむヨーグルトに口を付ける。

 「お昼それだけですか?」

 「はい。お腹空いていないので」

お弁当のことは黙っておこう。
彼らに言っても何もならないだろうしね。

飲み終わり、一足早く仕事に取り掛かろうとした時、声を掛けられる。

 「一条さん。よかったら僕のお弁当食べませんか?」

遠慮がちに声をかけてくれたのは瀬口先輩。

 「申し訳ないですよ。それにもとから食が細いので大丈夫です」

 「でも…」

 「お気持ちだけ受け取っておきます。ありがとうございます瀬口先輩」

ニコッと笑って話の回避に入れば、瀬口先輩は顔を朱に染めてしまう。

笑いかけると毎回のように頬を染めるのは何故?
もしかして、私の笑みが気持ち悪くて怒っているのかな?

 「やっぱりちょっとは食べた方がいいですよっ!」

勢い任せに運ばれた黄色いふわふわの卵焼きが唇に触れた。

箸を突き出した状態で先輩はまたも固まってしまう。

どうすればいいのか分からず悩んだものの、
唇に触れちゃったし食べなきゃダメよね?

 「わかりました。いただきます」

出来るだけ箸に触れないよう、そっと卵焼きを銜えた。
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