Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
あぁ、またあの夢を見ていたのか…

 「どうされましたか…?」

副会長に言葉を返せば眉間に皺を寄せられた。

一体何だろうと首を傾げる。
そこで気づいたのだ。
自分がソファーに横たわっていることに。

 「魘されていたので、起こしたほうがいいかと声を掛けたんです」

 「そうでしたか…すみません」

 「疲れているならあまり無理をしなくて大丈夫ですよ」

 「いえ、もう大丈夫です」

 「…そうですか」

頭も次第に起き始め、手に違和感を覚える。
見てみると双子たちが私の手を繋いでいたのだ。

 「一条さんが眠ってから彼らも眠ってしまったんですよ」

戸惑っていると副会長が教えてくれた。

 「なるほど…」

ってまだ仕事残ってる!
思い出して彼らの手を解こうとすれば、逆にギュッと握られてしまった。

 「寝てからまだ時間もあまり経ってないし、もう少しそのままでも良いんじゃないかな?」

瀬口先輩の言葉に時計を見た。
しかし自分が寝てしまった時間が分からない。

 「あの、私ってどの位寝てました?」

 「えっと、1時間くらいかな。そのぐらいだったよね?月葉君」

 「えぇ、そうですね」
1時間か…
1時間って大分寝てるよね?

仕事に支障を出したくないけど、手を使えない以上何もできないわね。
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