Memorys ‐過ぎ去りし時間‐
ゆっくり歩いていたら見事に遅れた。
教室に戻る前に、生徒総会に向かう人の波にのまれる。

…行きたくない
さっき面倒くさいことに巻き込まれて疲れているのに…
途中で具合悪いフリして保健室に避難しよ。

そんなことを考えていれば、体育館に着いた。
ざわざわしていた体育館が急に静かになったと思えば、ステージ上に3人現れる。

しかし静寂が訪れたのは一瞬のことだった。
次の瞬間には女子の黄色い声が体育館内に響き渡る。

耳が痛くて顔を顰めた。
イヤホンでもしてればよかったわ…

ステージ上に現れたのはアイドルではなく生徒会メンバー。

それだけでここまで騒げるのが不思議なくらいだ。
前にいる女子なんて今にも倒れそうなのだけれど、大丈夫なのかしら…

「これから生徒総会を始めたいのですが、宜しいでしょうか?」

眼鏡を押し上げながら優しく微笑み、
マイクに声を通すさっきの眼鏡。

やっぱりあの人は副会長だったようだ。

その言葉で静まり返る体育館内。
さっきまでの煩さが嘘のようだ。

 「ありがとうございます。では生徒総会を始めたいと思います」

3年生が引退し、新生徒会が発表される。
この学校は生徒の投票で生徒会メンバーが決まるそうだ。

簡単に言えば9割は顔で選ばれるみたいなもの。
そんなんで生徒会が務まるかは、
代々受け継がれているやり方だから大丈夫なのだろう。
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