幸せになる!! 前編
凛月は、心が痛んだが、

「俺だって帰りたくないよ。
でも、帰らなきゃ。
親父さん、1人なんだろ?」

茜里に、帰る事を促した。

「…そだね。
じゃあ、…また明日」

茜里は、無理して作った笑顔で、凛月に手を振った。
…それが、生きている茜里を見た、最後になった…。


-「…りつ」

翌日の夕方、電気もつけず、暗くなった部屋に、篭っている凛月に、静かな口調で友梨は呼びかけた。

「ほら、行くよ」

「行ったって茜里はもう…」

俯く凛月に、これ以上、何を言っても無駄だと、友梨は半ば無理矢理、凛月に制服を着せて、引きずるようにして、凛月を式場に連れて行った…。

「りつ、行ってきな。
茜里、綺麗だよ」

先に、茜里の顔を見て来た友梨が、凛月の背中をソッと押す。
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