幸せになる!! 前編
「え、そうなの?」

意外そうに、粋香は凛月を見る。

「もっと、話を聞いてやれば良かった。
もっと、好きって言ってやれば良かったって、今でも後悔してる。
…後悔しても、もう、帰って来ないんだけど」

「それって…りっちゃんの彼女?
もしかして、その人は既に亡くなっていて、初めて会った日に泣いたのは、その人の事を、思い出して…?」

粋香は、勘が鋭い。
凛月が小さく頷くと、

「…ヨシヨシ」

粋香は、自分より、背の高い凛月の頭を、背伸びして、撫でた。

「す…粋香ちゃん?」

粋香の突然の行動に、凛月は戸惑う。

「悲しそうにしてるから…、まずはヨシヨシでしょ?」

おっとりと笑う粋香に、完全に、茜里と重ねた凛月は、粋香に抱きつき、声を出して泣いた。

粋香は驚きながらも、愛おしそうに、凛月を抱きしめた-。
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