幸せになる!! 前編
窓から見えたあの人影は、どう見ても粋香ではない。
実際、粋香は気を失い、倒れている。

誰か…きっと、この世のものではない何かが、凛月に、粋香はここにいると知らせてくれたのだと思うが、いかんせん、凛月は幽霊だとかお化けだとかが大嫌いで、極度の怖がり。

先程の幽霊に怯えながらも、粋香の身なりを整え、粋香の鞄を背負う。

粋香は標準体重で、以前、階段から足を滑らせた粋香を、抱き抱えた時も、重いと感じなかったので、粋香を抱き抱えて、自宅まで連れて行った。

粋香を自宅に連れて行くと、粋香を見て、凛月同様、一瞬で粋香に何が起こったか理解した純生は、怒りで身体が震え、夏菜子は声を押し殺して泣いた。

「…誰が」

こんな事を…と言いかけて、純生は言葉をつぐんだ。
粋香が目を開けたからだ。

粋香は、しばらくぼんやりとしていたが、何かを思い出し、ガタガタと震えた。
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