幸せになる!! 前編
「誰かに…いや、おそらくたまたま学校に来ていた友梨に、突き飛ばされたらしく、強く頭を打って気を失ってる…」

静かに、純生は言った。


‐『ありがとう。
でも、もう大丈夫だよぅ』

粋香の笑顔を見たのは、ほんの数時間前の出来事なのに、目の前にいたのは変わり果てて粋香の姿。

「患者さんの御家族の方と連絡が取れる方、いらっしゃいませんか?」

救急隊員の方に言われ、

「兄です」

言葉短く、純生は救急車に乗り込んだ。

「りつ、今日は早退して、病院に来い。
かなにも言っておいて」

純生の言葉が終わると、救急車の扉は閉められ、スピードをあげて、救急車は近くの総合病院に向かった。

走り去る救急車を、しばらく、ぼう然と見つめながら、凛月はあの頃を思い出していた…。
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