君が好きなんだ。
朝から部長の弄りに耐えた今日は月曜日だというのにどっと疲れがでた。

幸い至急の仕事もなかったので、定時を少し過ぎたころ仕事を終えることができた。
帰り支度をすませ、エレベーターホールで上がってくるエレベーターを待ちながら、今日の夕食は何にしようかと考えていた。

「沢村さん」

あまり聞きたくない声に呼ばれ体がビクッとしてしまった。

「あぁ、斉藤くん、お疲れ様」

隣に並ばれたので私は気づかれないように半歩離れた。

「沢村さん、その髪型。とても似合ってますね。オレ前より好きですよ」

「アハハ…」

笑うしかない。

お前の好みなんて知らないよ！と心の中で毒づいてみた。

「すごく大人に見える…そそられます」

世間では『甘い声』とゆう声をだしながら私の髪に手を伸ばしてきた。

「ちょ、ちょっと…」

今度は堂々と避けたら、斉藤くんはニヤッて笑った。

「沢村さんって男に慣れてないですよね？付き合ってる男いないですよね」

「確かに今はいないけど！別にいいでしょ！」

断定的に言われてムカついた私は声を大きくしてしまった。
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