君が好きなんだ。
「じゃあ、オレとデートしましょう」

「しません!」

『じゃあ』の意味がわからない。デートをしなきゃいけない意味もわからない。

「付き合ってる男いないんですよね?だったらいいじゃないですか」

「お断りします」

「なんで?」

「なんでって…」

「オレとデートしようが、セックスしようが、沢村さん誰にも罪悪感感じる必要ないんですよ?だったらしましょうよ」

「セッ…?」

オフィス内で聞くことのない単語をはっきりと発信した目の前の男を凝視してしまう。

「オレ上手いんで。後悔させませんよ」

「…あのね…」

からかうにも程がある。呆れたのとバカにされた気がして反論しようと声をだしたところ、

「沢村」

優しい声が聞こえてきた。

「須田くん…」

いつもだ。いつも困ってると須田くんが現れる。

「沢村、一緒に帰ろ?」

優しく声をかけながら近づいてくる須田くんに泣きそうになった。差し伸べられた手に手を重ねたくなった。

でも私にはその資格がないこともちゃんとわかっていた。
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