君が好きなんだ。
そんな私の態度がわかったのか、須田くんは上向きに差し出していた手を下に向け、強引に私の手首を掴み自分に引き寄せた。

「須田さん、オレが先に沢村さん誘ってたんですけど?」

斉藤くんが腕を組み、挑戦的にいい放つ。

「あぁ、そうみたいだな。でも沢村は諦めて?」

須田くんは何事もないように淡々と言葉を返す。

「須田さんにそんなこと言う権利ないでしょう。オレと沢村さんのことなんで」

「権利か…あるっちゃあるんだけどな」

二人の会話に挟まれて何も言えない私。私がしっかり断らなきゃ。須田くんにこれ以上迷惑はかけられない。

「…須田くん、ありがとね、大丈夫だよ」

掴まれた手を離そうとすると余計に強く握られた。

「須田さん。沢村さんは『付き合ってる男はいない』って言ってましたよ。ですよね?沢村さん?」

「あっ、え、…」

握られた手に気をとられていた私は、急に斉藤くんに話をふられ焦ってしまった。

「『付き合って』はいないけど、オレたち『好き合って』はいるから」
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