可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
売られた喧嘩
平和な日常だった
相変わらず仕事は忙しいし、相川くんも最近出張が多くて会うのはままならなかったけど、連絡は取り合ってたし、順調だった
木崎課長とは、元々仕事で接点もなく、偶然社内で鉢合わせることでもなければ、会うこともないし、あれから社食にも行ってないので、噂される事もなくなってきていた
嬉しい誤算だったのは、部下の清水さんだ
私が清水さんを泣かせた次の日、一緒に取引先に連れて行った
そろそろ外回りも覚えてもらおうと思ったからだ
それが清水さんをやる気にさせたのか、あれからミスも少なくなり、積極的に仕事に取り組むようになり、どんどん成長している
しかも、私になついているような気がする
何故だか分からないけど
そんな時、上司の本田部長に呼ばれた
「三浦常務が?私をですか?」
「そうなんだ、俺も確認したんだが」
三浦常務が私を呼んでいると言うのだ
『三浦常務は悪知恵だけは働きますから』
相川くんの言葉を思い出す
「とりあえず行ってきます」
役員室に行こうとすると、宮本くんがいきなり立ち上がってこう言った
「俺も一緒に行きます」
「宮本くん?」
「いいですよね、本田部長」
本田部長は宮本くんの勢いに押されたのか、唖然として頷いた
部屋を出ると、宮本くんが「階段で行きましょう」と、階段で16階まで行くことに
「ちょっと海外事業部に寄って行きましょう」
「どういう事?」
「藤川さん経由で皆川部長に頼まれてたんです。こんなことがあったら報告するようにって。それと、絶対係長を1人で三浦常務に会わせるなって」
「は?」
そんな事を言ってるうちに、15階の海外事業部に着いた
私達が部屋に入ると、注目を浴びた
相川くんに目をやると、びっくりしていたが、何かを察したようだった
「皆川部長、今から係長と一緒に三浦常務の所に行ってきます」
宮本くんがそう言うと、皆川部長は片眉をあげて、私に何かを差し出した
「進藤係長、これを持って行くといい」
「ボイスレコーダーですか?」
「そう。三浦常務の発言を録音してきてほしい」
「はい」
「さあ、行っておいで。用が済んだらここに戻ってくるように。きっと無理難題を言ってくるだろうから。本田部長には僕から言っておく」
皆川部長に促されて、部屋を出たら「進藤係長」と呼ばれた
振り返ってみると、心配そうな顔をした相川くんがいた
「気を付けて……」
私は微笑んで「大丈夫だから」と言うと、宮本くんが相川くんに言った
「相川さん俺、絶対、係長のそばを離れませんから」
得意気に言う宮本くんに相川くんは笑った
「うん。じゃ頼む」
「はい。係長、行きましょう」
私は頷いて、階段を登った
相川くんの顔は敢えて見なかった
役員室へは、秘書室を経由しないと入っては行けない
秘書室へ入ると、木崎課長が私達に気付いて側に来た
「進藤係長、お待ちしてました」
「遅くなりまして申し訳ありません。部下の宮本を同席させても構わないでしょうか?」
「構いません。どうぞこちらへ」
秘書室の奥の扉を開けると、各役員の部屋がある
そして、三浦常務の部屋に行く途中、木崎課長が口を開いた
「宮本くんは、俺が呼んだことにしておきます。進藤係長、ボイスレコーダーの電源は入れてますか?」
「あっ、今入れます」
私はポケットに入れているボイスレコーダーの電源を入れた
木崎課長はそれを見て三浦常務の部屋の扉をノックして部屋に入った
相変わらず仕事は忙しいし、相川くんも最近出張が多くて会うのはままならなかったけど、連絡は取り合ってたし、順調だった
木崎課長とは、元々仕事で接点もなく、偶然社内で鉢合わせることでもなければ、会うこともないし、あれから社食にも行ってないので、噂される事もなくなってきていた
嬉しい誤算だったのは、部下の清水さんだ
私が清水さんを泣かせた次の日、一緒に取引先に連れて行った
そろそろ外回りも覚えてもらおうと思ったからだ
それが清水さんをやる気にさせたのか、あれからミスも少なくなり、積極的に仕事に取り組むようになり、どんどん成長している
しかも、私になついているような気がする
何故だか分からないけど
そんな時、上司の本田部長に呼ばれた
「三浦常務が?私をですか?」
「そうなんだ、俺も確認したんだが」
三浦常務が私を呼んでいると言うのだ
『三浦常務は悪知恵だけは働きますから』
相川くんの言葉を思い出す
「とりあえず行ってきます」
役員室に行こうとすると、宮本くんがいきなり立ち上がってこう言った
「俺も一緒に行きます」
「宮本くん?」
「いいですよね、本田部長」
本田部長は宮本くんの勢いに押されたのか、唖然として頷いた
部屋を出ると、宮本くんが「階段で行きましょう」と、階段で16階まで行くことに
「ちょっと海外事業部に寄って行きましょう」
「どういう事?」
「藤川さん経由で皆川部長に頼まれてたんです。こんなことがあったら報告するようにって。それと、絶対係長を1人で三浦常務に会わせるなって」
「は?」
そんな事を言ってるうちに、15階の海外事業部に着いた
私達が部屋に入ると、注目を浴びた
相川くんに目をやると、びっくりしていたが、何かを察したようだった
「皆川部長、今から係長と一緒に三浦常務の所に行ってきます」
宮本くんがそう言うと、皆川部長は片眉をあげて、私に何かを差し出した
「進藤係長、これを持って行くといい」
「ボイスレコーダーですか?」
「そう。三浦常務の発言を録音してきてほしい」
「はい」
「さあ、行っておいで。用が済んだらここに戻ってくるように。きっと無理難題を言ってくるだろうから。本田部長には僕から言っておく」
皆川部長に促されて、部屋を出たら「進藤係長」と呼ばれた
振り返ってみると、心配そうな顔をした相川くんがいた
「気を付けて……」
私は微笑んで「大丈夫だから」と言うと、宮本くんが相川くんに言った
「相川さん俺、絶対、係長のそばを離れませんから」
得意気に言う宮本くんに相川くんは笑った
「うん。じゃ頼む」
「はい。係長、行きましょう」
私は頷いて、階段を登った
相川くんの顔は敢えて見なかった
役員室へは、秘書室を経由しないと入っては行けない
秘書室へ入ると、木崎課長が私達に気付いて側に来た
「進藤係長、お待ちしてました」
「遅くなりまして申し訳ありません。部下の宮本を同席させても構わないでしょうか?」
「構いません。どうぞこちらへ」
秘書室の奥の扉を開けると、各役員の部屋がある
そして、三浦常務の部屋に行く途中、木崎課長が口を開いた
「宮本くんは、俺が呼んだことにしておきます。進藤係長、ボイスレコーダーの電源は入れてますか?」
「あっ、今入れます」
私はポケットに入れているボイスレコーダーの電源を入れた
木崎課長はそれを見て三浦常務の部屋の扉をノックして部屋に入った