可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
海外事業部の部屋に入ってきたみっちゃんは、皆川部長の前にズンズンと進んで、キッと睨んだ


「I企画の兵藤です。どうして私の親友が枕営業しなくちゃいけないのか、説明してもらいましょうか?皆川部長?」
「分かりました。こちらの打ち合わせ室へ。神崎係長、相川、進藤係長もこっちへ」


皆川部長に促されて全員が打ち合わせ室に入ると、またみっちゃんが皆川部長に噛みついた


「ちょっと皆川さん!どういう事よ!何で奈南さんがそんな事しなくちゃいけないのよ!」
「まあまあ、美智子さん。ちょっと落ち着いて。最初からちゃんと話すから……」
「これが落ち着いてられますか!天下のF社がなんてこと奈南さんにさせようとしてんのよ!枕営業って……女を、女を馬鹿にすんじゃないわよ!!」


バンっ!と机を叩いたみっちゃんに男性陣がビクッとして、何も言えずにいるのを見ると、私は思わず吹き出してしまった


「ちょっと奈南さん。何笑ってんの?誰の為に私が怒ってると思ってんの?」
「ごめんみっちゃん。何か……ふふふっ。ありがとう。私の為に怒ってくれて」
「もう、何か調子狂うなぁ。大丈夫かな?私、2人を置いて九州に行くのが心配だわ」


みっちゃんは溜め息をつくと、皆川部長に向き合った


「皆川さん、取り乱してすいませんでした。最初から話してもらえますか?内容によっては、I企画はF社に協力します」
「はい。どうぞお掛けください。最初からお話します」


皆川部長は最初から話し始めた

これまでの事を全部最初から


全部話し終えた時、みっちゃんはふうっと息を吐いて口を開いた


「分かりました。I企画としてもF社に協力したいと思います」
「F社としてもI企画に協力は惜しみません。うちの神崎を使って下さい」
「はい。よろしくお願いします」


みっちゃんは神崎係長に頭を下げて、皆川部長に向き直った


「それとお願いがあります」
「何でしょうか?」
「おたくの奥さんと、進藤係長。今から貸してもらえませんか?」

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