可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
そして、その日がやってきた
K貿易とKカンパニーが来る前に、社長と三浦常務の時間が取れたと言われていた
「どうせなら、進藤係長が叩き落とした後で、相川がとどめを刺した方が面白いと思わないか」
そう言って笑った皆川部長に、全員凍りついたけれど
「清水さん、おはよう」
「あっ、おはようござ、います?ってあの……どちら様ですか?」
「失礼ね。自分の上司が分からないの?」
「はあっ?進藤係長ですか!?」
清水さんの声に、もう出勤していた海外事業部のメンバーが私を見て固まった
今日の私は、普段かけていない眼鏡を身に付け、普段アップにまとめてある髪の毛を垂らして、コテで毛先をカールした
服装も体のラインが強調されるようなスーツを着て、スカートの横の部分にはスリットが入っているし、ブラウスも胸元が空いている物を選んだ
「なんでそんなエロい格好してるんですか!今日は三浦常務と……」
「だからよ」
「はあっ?ちょっと……あ、相川さん!」
出勤してきた相川くんは、私を見て目を丸くしていたが、すぐにふっと笑って、ゆっくりと私の前まで歩いてきた
「皆川部長が奈南美さんの事を『恐ろしい』と言ったのは、こういう事ですか?」
「分かってくれた?」
「奈南美さんが、大人しく引き下がる訳がないとは思ってましたけど……」
「相川くん私ね、三浦常務を天国から地獄に叩き落としたいの。本当はとどめも刺したいところだけど、それはあなたに譲ってあげる」
相川くんは苦笑しながら私の手を握った
回りがざわついたけど、相川くんは離さなかった
「手が震えてますよ。奈南美さん、本当は怖いんでしょ?」
私はビクッとして相川くんを見上げた
何で分かるかな?
相川くんには適わないよ
相川くんの言う通り、本当は怖くて堪らなかった
あの噂が流れてから、女を武器にするような事は極力避けてきた
しかも、今日は三浦常務好みの格好そのものだ
朝、着替える時も手が震えて止まらなかった
そんな私を相川くんは優しく見つめている
「奈南美さん。俺、同席出来ないけど、思う存分やってきてください。俺がちゃんととどめを刺しますから」
私は涙を堪えながら頷いて、相川くんの胸に頭を預けた
相川くんの優しい手が私の頭を撫でる
「おはよう。相川、何堂々と浮気してるんだ?進藤に見つかったらどうする気だ。て言うか、君は誰だ?」
皆川部長の発言に、部屋中に笑い声が広がる
「何だ?何笑ってるんだ?」
訳が分からないと言う顔をしている部長に近づいた私は、眼鏡をはずして、髪の毛を無造作にまとめて見せた
「これでも分かりませんか?」
部長はやっと私だと分かったらしく、驚きのあまり口をパクパクさせている
「し、進藤!」
「いつもと違うからと言って、元カノのことが分からないってあんまりじゃないですか?それに、部長には言ってたはずです。『当日は三浦常務好みの格好で来ますから』って」
「いや、しかしだな」
私は眼鏡をかけて、髪の毛を整えて、溜め息をついて言った
「眼鏡かけて髪型変えただけで分からないなんて……私、部長と別れて正解でした」
その時の部長の顔ったらなかった
回りの皆は大爆笑
私も笑って振り返ると、相川くんが可笑しそうに笑ってた
大丈夫
私はやれる
絶対、三浦常務になんか負けない
きっと、相川くんが笑顔で迎えてくれるだろうから
K貿易とKカンパニーが来る前に、社長と三浦常務の時間が取れたと言われていた
「どうせなら、進藤係長が叩き落とした後で、相川がとどめを刺した方が面白いと思わないか」
そう言って笑った皆川部長に、全員凍りついたけれど
「清水さん、おはよう」
「あっ、おはようござ、います?ってあの……どちら様ですか?」
「失礼ね。自分の上司が分からないの?」
「はあっ?進藤係長ですか!?」
清水さんの声に、もう出勤していた海外事業部のメンバーが私を見て固まった
今日の私は、普段かけていない眼鏡を身に付け、普段アップにまとめてある髪の毛を垂らして、コテで毛先をカールした
服装も体のラインが強調されるようなスーツを着て、スカートの横の部分にはスリットが入っているし、ブラウスも胸元が空いている物を選んだ
「なんでそんなエロい格好してるんですか!今日は三浦常務と……」
「だからよ」
「はあっ?ちょっと……あ、相川さん!」
出勤してきた相川くんは、私を見て目を丸くしていたが、すぐにふっと笑って、ゆっくりと私の前まで歩いてきた
「皆川部長が奈南美さんの事を『恐ろしい』と言ったのは、こういう事ですか?」
「分かってくれた?」
「奈南美さんが、大人しく引き下がる訳がないとは思ってましたけど……」
「相川くん私ね、三浦常務を天国から地獄に叩き落としたいの。本当はとどめも刺したいところだけど、それはあなたに譲ってあげる」
相川くんは苦笑しながら私の手を握った
回りがざわついたけど、相川くんは離さなかった
「手が震えてますよ。奈南美さん、本当は怖いんでしょ?」
私はビクッとして相川くんを見上げた
何で分かるかな?
相川くんには適わないよ
相川くんの言う通り、本当は怖くて堪らなかった
あの噂が流れてから、女を武器にするような事は極力避けてきた
しかも、今日は三浦常務好みの格好そのものだ
朝、着替える時も手が震えて止まらなかった
そんな私を相川くんは優しく見つめている
「奈南美さん。俺、同席出来ないけど、思う存分やってきてください。俺がちゃんととどめを刺しますから」
私は涙を堪えながら頷いて、相川くんの胸に頭を預けた
相川くんの優しい手が私の頭を撫でる
「おはよう。相川、何堂々と浮気してるんだ?進藤に見つかったらどうする気だ。て言うか、君は誰だ?」
皆川部長の発言に、部屋中に笑い声が広がる
「何だ?何笑ってるんだ?」
訳が分からないと言う顔をしている部長に近づいた私は、眼鏡をはずして、髪の毛を無造作にまとめて見せた
「これでも分かりませんか?」
部長はやっと私だと分かったらしく、驚きのあまり口をパクパクさせている
「し、進藤!」
「いつもと違うからと言って、元カノのことが分からないってあんまりじゃないですか?それに、部長には言ってたはずです。『当日は三浦常務好みの格好で来ますから』って」
「いや、しかしだな」
私は眼鏡をかけて、髪の毛を整えて、溜め息をついて言った
「眼鏡かけて髪型変えただけで分からないなんて……私、部長と別れて正解でした」
その時の部長の顔ったらなかった
回りの皆は大爆笑
私も笑って振り返ると、相川くんが可笑しそうに笑ってた
大丈夫
私はやれる
絶対、三浦常務になんか負けない
きっと、相川くんが笑顔で迎えてくれるだろうから