可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
午後になり、皆川部長、神崎係長、相川くん、通訳として藤川さん、清水さんも会議室へと入って行った
もちろんそこには、Kカンパニー、K貿易の重役達、吉田社長と三浦常務も入っている
皆が会議室へ入って2時間
私はただ待っているしか出来ない
そんな時、木崎課長が部屋に入ってきた
「進藤係長、ちょっと来ていただけますか?」
「あの……木崎課長?」
戸惑っている私の手を取って、木崎課長は部屋を出た
「木崎課長!どこに行くんですか」
「相川くんが貴女を守ろうと必死に頑張っている姿を見たいと思いませんか?」
「え?」
そうして連れて来られたのは小会議室
木崎課長は部屋に入るなり、モニターの電源を入れた
その画面には、会議室の様子が映し出されていた
「K貿易がやろうとしていたことをKカンパニーに突き付け、F社とKカンパニーが業務提携を結ぶようにと約束させたようです」
食い入るようにモニターを見るとそこには、青い顔をしたK貿易の重役達、Kカンパニーの重役達ははK貿易に対して烈火の如く怒っていて、吉田社長に対して頭を下げていた
「相川くんは、以前うちがS商事にプレゼンで負けたのは、三浦常務が独断で辞退を申し出た証拠も突き付けていました」
「そんな証拠、どこで……」
「俺が三浦常務の悪行三昧の書類を皆川部長に渡していたんです。それを元に探したんでしょう」
「そんなこと、いつの間に」
「S商事にも出向いて、Kカンパニーとの業務提携を諦めるようにと頭を下げたらしいですよ。その代わり、アメリカでS商事が暗礁に乗り上げている事業の協力を申し出て、S商事も了承したそうです……もうKカンパニーとK貿易の方達が帰るようですね」
会議室には、社長と三浦常務、皆川部長、神崎係長、相川くんだけが残っていた
木崎課長はモニターのボリュームを上げた
『……三浦常務、少々やりすぎたようだな』
『社長……私はただ!』
『言い訳は聞きたくない!』
社長が怒鳴って、机を拳で叩いた
三浦常務はそれにびっくりして口をパクパクさせている
『もし、海外事業部が動いていなかったら、F社はどうなったと思っている!』
『そ、それは……』
三浦常務は悔しそうに下を向いて、ボソッと言った
『進藤さえ言うことを聞いていれば、こんなことには』
こんな状況になっても、私のせいにするんだ、この人
呆然としていると、モニターの向こうで、相川くんが三浦常務に殴りかかろうとしていたので、私は急いで会議室へと走って行った
会議室のドアを開けると、床に転がっている三浦常務と怒りをあらわにした相川くんが三浦常務を睨んでいた
皆川部長達は私が姿を現した事にびっくりしていたが、相川くんはそれに気付かず、三浦常務の胸ぐらを掴み上げた
「進藤係長に話を持ち掛けた時あなたは『誰かが責任をとることになるだろうね』と言ってましたね。いい機会です。今回のK貿易との勝手な契約、Kカンパニーとの業務提携を独断で辞退した事で大義名分が出来たじゃないですか」
「何だって?」
「女性社員にセクハラで訴えられて辞めるよりは、よっぽどマシだと思いますが。違いますか?」
「あ、相川……お前」
相川くんが手を離すと、三浦常務は力無く椅子に座った
すると社長が三浦常務に近付いて言った
「海外事業部に感謝するんだな、三浦常務。あなたが辞める理由を作ってくれたんだから」
三浦常務は観念したのか、肩をがっくりと落とした
社長は相川くんの肩をポンと叩いた
「今までご苦労だった。大変だっただろう」
「……そうですね」
「ははっ。素直だなあ相川くん。まあ、皆川部長の下にいる内は忙しいだろうが、これからも頑張ってくれ」
「はい」
社長が会議室を後にしようとしていたので、入り口に立っていた私は慌てて避けた
でも社長は私の前で立ち止まった
「進藤係長、三浦常務には近いうちに臨時株主総会を開いて辞めてもらう。理由はさっき、相川くんが言った通りになってしまうが……」
「分かっています。会社の為にはその方がいいと、私も思います。他の女性社員も納得してくれるでしょう」
「すまないね」
「いえ、お心遣いありがとうございます」
私が軽く頭を下げると、社長は帰って行った
まだ呆然としている三浦常務を皆川部長と神崎係長が両脇を抱えるように立たせて、会議室を出て行き、残ったのは、木崎課長と相川くんと私の3人になった
もちろんそこには、Kカンパニー、K貿易の重役達、吉田社長と三浦常務も入っている
皆が会議室へ入って2時間
私はただ待っているしか出来ない
そんな時、木崎課長が部屋に入ってきた
「進藤係長、ちょっと来ていただけますか?」
「あの……木崎課長?」
戸惑っている私の手を取って、木崎課長は部屋を出た
「木崎課長!どこに行くんですか」
「相川くんが貴女を守ろうと必死に頑張っている姿を見たいと思いませんか?」
「え?」
そうして連れて来られたのは小会議室
木崎課長は部屋に入るなり、モニターの電源を入れた
その画面には、会議室の様子が映し出されていた
「K貿易がやろうとしていたことをKカンパニーに突き付け、F社とKカンパニーが業務提携を結ぶようにと約束させたようです」
食い入るようにモニターを見るとそこには、青い顔をしたK貿易の重役達、Kカンパニーの重役達ははK貿易に対して烈火の如く怒っていて、吉田社長に対して頭を下げていた
「相川くんは、以前うちがS商事にプレゼンで負けたのは、三浦常務が独断で辞退を申し出た証拠も突き付けていました」
「そんな証拠、どこで……」
「俺が三浦常務の悪行三昧の書類を皆川部長に渡していたんです。それを元に探したんでしょう」
「そんなこと、いつの間に」
「S商事にも出向いて、Kカンパニーとの業務提携を諦めるようにと頭を下げたらしいですよ。その代わり、アメリカでS商事が暗礁に乗り上げている事業の協力を申し出て、S商事も了承したそうです……もうKカンパニーとK貿易の方達が帰るようですね」
会議室には、社長と三浦常務、皆川部長、神崎係長、相川くんだけが残っていた
木崎課長はモニターのボリュームを上げた
『……三浦常務、少々やりすぎたようだな』
『社長……私はただ!』
『言い訳は聞きたくない!』
社長が怒鳴って、机を拳で叩いた
三浦常務はそれにびっくりして口をパクパクさせている
『もし、海外事業部が動いていなかったら、F社はどうなったと思っている!』
『そ、それは……』
三浦常務は悔しそうに下を向いて、ボソッと言った
『進藤さえ言うことを聞いていれば、こんなことには』
こんな状況になっても、私のせいにするんだ、この人
呆然としていると、モニターの向こうで、相川くんが三浦常務に殴りかかろうとしていたので、私は急いで会議室へと走って行った
会議室のドアを開けると、床に転がっている三浦常務と怒りをあらわにした相川くんが三浦常務を睨んでいた
皆川部長達は私が姿を現した事にびっくりしていたが、相川くんはそれに気付かず、三浦常務の胸ぐらを掴み上げた
「進藤係長に話を持ち掛けた時あなたは『誰かが責任をとることになるだろうね』と言ってましたね。いい機会です。今回のK貿易との勝手な契約、Kカンパニーとの業務提携を独断で辞退した事で大義名分が出来たじゃないですか」
「何だって?」
「女性社員にセクハラで訴えられて辞めるよりは、よっぽどマシだと思いますが。違いますか?」
「あ、相川……お前」
相川くんが手を離すと、三浦常務は力無く椅子に座った
すると社長が三浦常務に近付いて言った
「海外事業部に感謝するんだな、三浦常務。あなたが辞める理由を作ってくれたんだから」
三浦常務は観念したのか、肩をがっくりと落とした
社長は相川くんの肩をポンと叩いた
「今までご苦労だった。大変だっただろう」
「……そうですね」
「ははっ。素直だなあ相川くん。まあ、皆川部長の下にいる内は忙しいだろうが、これからも頑張ってくれ」
「はい」
社長が会議室を後にしようとしていたので、入り口に立っていた私は慌てて避けた
でも社長は私の前で立ち止まった
「進藤係長、三浦常務には近いうちに臨時株主総会を開いて辞めてもらう。理由はさっき、相川くんが言った通りになってしまうが……」
「分かっています。会社の為にはその方がいいと、私も思います。他の女性社員も納得してくれるでしょう」
「すまないね」
「いえ、お心遣いありがとうございます」
私が軽く頭を下げると、社長は帰って行った
まだ呆然としている三浦常務を皆川部長と神崎係長が両脇を抱えるように立たせて、会議室を出て行き、残ったのは、木崎課長と相川くんと私の3人になった