可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
社長と出掛ける30分前、私は海外事業部にいた
「進藤課長、その件は断ったはずですが」
「私も事情は分かっています。皆川部長が奥様をああいう場所に出したくないことも、出産されて間もない事も」
「だったら」
「でも、取締役という立場も分かってくれませんか?他の役員方の目もあります。社長はそれを心配されていると思います」
「だから昇格したくなかったんだ……」
皆川部長は大きな溜め息をついた
そう、皆川部長は昇格の話があったとき最初は断った
40才にもなってないのにまだ早すぎるし、それに、こういう煩わしい事も増えるからと
でもそれを社長が無理矢理、株主総会にかけて承認させた
社長はそれだけ皆川部長に期待しているから
海外事業部のメンバーが心配そうに見ていた
もちろん、相川くんも
「私が奥様に、祥ちゃんに直接聞いてみても構いませんか?」
「え?」
「もちろん、断っても構わない事はちゃんと伝えます。それに祥ちゃんが断っても、私が社長に説明しますから」
私がそう言うと、部長は苦笑して言った
「君も苦労が絶えないな、進藤課長」
「え?」
「君が頼んだら尚更、祥子は断らないよ。社長はそれを見越して君を僕に寄越したんだ」
「まさか、そこまで……」
「進藤課長、社長は曲者だぞ」
ニヤッと笑う皆川部長に私も小さく笑った
「そのようですね。お陰様で今日は確実に残業です。今から出掛けないといけないのに。もう時間なので、失礼します。祥ちゃんには……」
「ちゃんと僕から言っておく。君からもそれとなく言っておいてくれるか?」
「もちろん、そうさせてもらいます。では」
私は足早に海外事業部を後にして、秘書室に戻って行った
素早く支度をして、社長室へ行き、社長と一緒に駐車場へ向かい、社長車に乗り込んだ
「皆川部長に聞いてくれたかい?」
「はい。奥様に頼んでみるそうです。私からも連絡してみます」
「そうか。じゃ夫婦同伴決定だな」
え?と思って振り返ると、ニヤッと笑っていた
この人、本当に曲者だわ……
私は社長車の助手席で小さく溜め息をついた
すると、スマホが震えたので見てみると、相川くんからメッセージが届いていた
『顔が疲れてたけど、大丈夫?俺、今日は早く帰れそうだから、スタミナ料理作るよ。楽しみにしてて』
思わず笑みが溢れた
少し、疲れが飛んだ気がした
私と相川くんは、1ヶ月前から一緒に暮らている
「進藤課長、その件は断ったはずですが」
「私も事情は分かっています。皆川部長が奥様をああいう場所に出したくないことも、出産されて間もない事も」
「だったら」
「でも、取締役という立場も分かってくれませんか?他の役員方の目もあります。社長はそれを心配されていると思います」
「だから昇格したくなかったんだ……」
皆川部長は大きな溜め息をついた
そう、皆川部長は昇格の話があったとき最初は断った
40才にもなってないのにまだ早すぎるし、それに、こういう煩わしい事も増えるからと
でもそれを社長が無理矢理、株主総会にかけて承認させた
社長はそれだけ皆川部長に期待しているから
海外事業部のメンバーが心配そうに見ていた
もちろん、相川くんも
「私が奥様に、祥ちゃんに直接聞いてみても構いませんか?」
「え?」
「もちろん、断っても構わない事はちゃんと伝えます。それに祥ちゃんが断っても、私が社長に説明しますから」
私がそう言うと、部長は苦笑して言った
「君も苦労が絶えないな、進藤課長」
「え?」
「君が頼んだら尚更、祥子は断らないよ。社長はそれを見越して君を僕に寄越したんだ」
「まさか、そこまで……」
「進藤課長、社長は曲者だぞ」
ニヤッと笑う皆川部長に私も小さく笑った
「そのようですね。お陰様で今日は確実に残業です。今から出掛けないといけないのに。もう時間なので、失礼します。祥ちゃんには……」
「ちゃんと僕から言っておく。君からもそれとなく言っておいてくれるか?」
「もちろん、そうさせてもらいます。では」
私は足早に海外事業部を後にして、秘書室に戻って行った
素早く支度をして、社長室へ行き、社長と一緒に駐車場へ向かい、社長車に乗り込んだ
「皆川部長に聞いてくれたかい?」
「はい。奥様に頼んでみるそうです。私からも連絡してみます」
「そうか。じゃ夫婦同伴決定だな」
え?と思って振り返ると、ニヤッと笑っていた
この人、本当に曲者だわ……
私は社長車の助手席で小さく溜め息をついた
すると、スマホが震えたので見てみると、相川くんからメッセージが届いていた
『顔が疲れてたけど、大丈夫?俺、今日は早く帰れそうだから、スタミナ料理作るよ。楽しみにしてて』
思わず笑みが溢れた
少し、疲れが飛んだ気がした
私と相川くんは、1ヶ月前から一緒に暮らている