可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
身体中を優しく愛撫されて、大事にされているのが分かる
相川くんが私の奥に到達した時、なんとも言えない気持ちになった
すると相川くんはびっくりしながら私を見た


「奈南美?何で泣いてるの?」
「……え?」


慌てて顔を拭うと自分でも気付かないうちに涙が流れている


「私、なんで?」


拭っても拭っても涙が溢れてきた
相川くんは私の手を取り瞼に口付けた
それでも涙は止まらない


「相川くん」
「ん?」
「私、怖いよ」
「何が?」
「幸せすぎて怖い。あなたを失うのが怖い。1人になるのが怖い」


相川くんは優しく笑って私の両頬を包んだ


「俺は、奈南美を1人になんかしない。離れてなんかやらない。幸せなのは、慣れてくれないと困る」


それを聞いて、また涙が溢れた
私はここに居ていいんだと、相川くんと一緒に居ていいんだと思うと、嬉しくて幸せで……
そんな私にキスを落として、相川くんはゆっくりと動き出した



「……健次、好き」
「俺も、好きだ……奈南美っ」
「健次、健次……」


うわ言のように名前を呼び続けてしがみついた
彼も応えるように私を強く抱き締め、ほぼ同時に達した
お互いの息が整うと、相川くんは私を抱き寄せた
私の腰から背中を優しく撫でていた相川くんは、ふっと笑った


「なあに?」
「いや、本当に痩せたなあって思って」
「そんなに痩せたかな?」
「服のサイズは?ちゃんと合ってる?」
「そう言えば……」


最近、ウエストのサイズが合わなくなったような気がする

私のそんな様子を見て、相川くんは溜め息をついた


「これからしばらくは、俺が料理作るからちゃんと食べて、これ以上痩せないようにして」
「太れってこと?」
「そう」
「なんか変なの。普通痩せろって言うんじゃない?」
「今の奈南美は痩せすぎだ。倒れたらどうするつもり?」


相川くんが私を心配しているのが分かる
だから私は相川くんの首に顔を埋めて抱きついた


「はい。言う通りにします」
「お願いしますよ、本当に」
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