可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
閑話 避けては通れない★相川視点★
週末に1泊で出掛けようと思ったのは、一緒に暮らしている彼女が疲れきっていたし、最近まともにデートもしていなかったから
自分は同じ部署内での昇進で仕事内容は全くといっていいほど変わらなかったので良かったが、彼女はマーケティング部から秘書室への異動に加え、昇進もして、しかも社長付きの秘書となり、目まぐるしく働いていた
家に帰って来ても、疲労の為に食欲も失せ、彼女が入浴中に船を漕いでいるのを何度起こしに行ったか分からない
そんな時、以前仕事で立ち寄った旅館を思い出し、あそこなら彼女が癒されるんじゃないかと電話すると、運よく部屋が空いていると言われ、迷わず予約した
アロママッサージも受けられると言われたのでそれも予約し、彼女には内緒にしておくことにした
結局その日まで彼女にどこに行くか教えることなく、目的地へ着いた
自分の予想通り彼女は気に入ってくれた様子で、アロママッサージも堪能してくれたようだった
久しぶりに彼女の楽しそうな笑顔を見て、本当に嬉しかった
一緒に露天風呂に入り、夕食も食べて、ベッドで彼女を抱いて何気なく話していた時、彼女から信じられない事を聞くことになる
「10才まで児童養護施設にいた」
「自分の母を『お母さん』と呼んだことはない」
「母を利用してやろうと思った」
「母に置き手紙を残して家を出た」
そして最後にこう言った
「こんな私と、まだ結婚したいって思う?私、たまに思うの。私に子供が出来たら、あの人みたいな母親になるんじゃないかって。そうなったらどうしようって。凄く不安なの……」
その後は、ひたすら彼女を抱いた
それこそ彼女が気を失うまで
今は言葉にするより、こうした方がいいんじゃないかと思ったから
彼女は気を失うまで自分の名前を呼び続けた
「健次、健次……」
と……
彼女は気付いていないが、最近自分に抱かれているときは、名前を呼び捨てるようになった
そんな彼女を愛おしく思い、思いきり抱いた
彼女が気を失って、抱き締めると、彼女が無意識に身体をすり寄せてくる
「1人になんかしないから、安心して。奈南美」
付き合うようになって時折彼女から聞く言葉
「私を1人にしないで……」
それは、数年前に流れていた会社での噂からだと思っていたが、さっき彼女から聞いた事で、それだけじゃなかったんだと、胸が痛かった
「もう、寂しい思いなんかさせないからね」
寝ている彼女の頬を撫でて、自然と笑顔になる
「奈南美は、いい母親になれるよきっと」
それは、部長夫妻の愛娘を抱っこした時の彼女の顔を見たから言えること
本当に慈愛に満ちた顔だった
「君のお母さん、そんなに冷たい人だったのかな?君の事をどうでもいいと思ってるんだったら、引き取ったりしないと思うのは、甘い考えなのかな?」
自分がそんな事を思うのはおこがましいことだろう
彼女が子供時代に寂しい思いをしていたのは間違いないんだから
でも彼女との将来を考えたら、避けては通れない問題
だから尚更……
「君のお母さんに、ちゃんと挨拶するからね」
そうして、彼女を抱き締めたまま眠った
自分は同じ部署内での昇進で仕事内容は全くといっていいほど変わらなかったので良かったが、彼女はマーケティング部から秘書室への異動に加え、昇進もして、しかも社長付きの秘書となり、目まぐるしく働いていた
家に帰って来ても、疲労の為に食欲も失せ、彼女が入浴中に船を漕いでいるのを何度起こしに行ったか分からない
そんな時、以前仕事で立ち寄った旅館を思い出し、あそこなら彼女が癒されるんじゃないかと電話すると、運よく部屋が空いていると言われ、迷わず予約した
アロママッサージも受けられると言われたのでそれも予約し、彼女には内緒にしておくことにした
結局その日まで彼女にどこに行くか教えることなく、目的地へ着いた
自分の予想通り彼女は気に入ってくれた様子で、アロママッサージも堪能してくれたようだった
久しぶりに彼女の楽しそうな笑顔を見て、本当に嬉しかった
一緒に露天風呂に入り、夕食も食べて、ベッドで彼女を抱いて何気なく話していた時、彼女から信じられない事を聞くことになる
「10才まで児童養護施設にいた」
「自分の母を『お母さん』と呼んだことはない」
「母を利用してやろうと思った」
「母に置き手紙を残して家を出た」
そして最後にこう言った
「こんな私と、まだ結婚したいって思う?私、たまに思うの。私に子供が出来たら、あの人みたいな母親になるんじゃないかって。そうなったらどうしようって。凄く不安なの……」
その後は、ひたすら彼女を抱いた
それこそ彼女が気を失うまで
今は言葉にするより、こうした方がいいんじゃないかと思ったから
彼女は気を失うまで自分の名前を呼び続けた
「健次、健次……」
と……
彼女は気付いていないが、最近自分に抱かれているときは、名前を呼び捨てるようになった
そんな彼女を愛おしく思い、思いきり抱いた
彼女が気を失って、抱き締めると、彼女が無意識に身体をすり寄せてくる
「1人になんかしないから、安心して。奈南美」
付き合うようになって時折彼女から聞く言葉
「私を1人にしないで……」
それは、数年前に流れていた会社での噂からだと思っていたが、さっき彼女から聞いた事で、それだけじゃなかったんだと、胸が痛かった
「もう、寂しい思いなんかさせないからね」
寝ている彼女の頬を撫でて、自然と笑顔になる
「奈南美は、いい母親になれるよきっと」
それは、部長夫妻の愛娘を抱っこした時の彼女の顔を見たから言えること
本当に慈愛に満ちた顔だった
「君のお母さん、そんなに冷たい人だったのかな?君の事をどうでもいいと思ってるんだったら、引き取ったりしないと思うのは、甘い考えなのかな?」
自分がそんな事を思うのはおこがましいことだろう
彼女が子供時代に寂しい思いをしていたのは間違いないんだから
でも彼女との将来を考えたら、避けては通れない問題
だから尚更……
「君のお母さんに、ちゃんと挨拶するからね」
そうして、彼女を抱き締めたまま眠った