可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
閑話 幸せを願う★慎一郎視点★
相川を進藤の所に行かせて数分後、妻が戻ってきた
目の前にいる人とお互いに挨拶をすませて、妻の顔を見てみると明らかに怒っているご様子
顔は笑っているが、目が全く笑っていない
無理もない
妻の親友、進藤奈南美を泣かせた張本人、彼女の母親という人が僕達の目の前にいるのだから
これは何かしそうだな
と思っていたら、吉田社長夫妻がやってきた
「皆川部長、すまないね。結局君に進藤社長の案内役をさせてしまうなんて。奥さんも、申し訳ない」
「いえ、全然構いませんよ。ね?祥子」
「ええ。こちらの進藤社長にお聞きしたいことがあったので。ちょうど良かったです」
全くうちの妻は可愛い顔をして恐ろしいことをしてくれる……
吉田社長も何かを察したのか、ちょっと場所を変えようと、社長の控室へと移動した
そして、祥子は進藤社長の前に立って真っ直ぐ見据えた
先に口を開いたのは進藤社長だった
「祥子さんとおっしゃいましね。私に聞きたいこととはなんですか?」
「私の親友は……奈南ちゃんは、あなたに『愛された覚えがない』と言っていました。あなたの返答次第では私はあなたを許さないし、同じ母親として軽蔑します」
「母親?あなた、お子さんがいらっしゃるの?」
「はい。数ヶ月前に娘を出産しました」
「そう」
進藤社長は小さく息を吐いて、祥子を見て笑った
とても寂しげに
「祥子さん。娘を、奈南美をよろしくお願いします」
そう言って、進藤社長は祥子に深々と頭を下げた
その姿に、吉田社長夫妻も僕も何も言えなかった
ただ、祥子は違った
「進藤社長。いえ、お母さん。奈南ちゃんは、そんな事を望んでないんです。私に頭を下げたところで、気持ちは伝わらない。分かっているんですよね?」
それでも進藤社長は頭を上げない
そんな進藤社長に、祥子は更に言葉を重ねる
「どんな事情があったのかは知りません。でも、私は娘に『産まなきゃよかったのに』なんて、死んでも言われたくない。お母さんもそうなんでしょ?奈南ちゃんにそんな事言われる為に、奈南ちゃんを産んだんじゃないでしょ?答えてください!」
最後は悲鳴に近かったと思う
そんな祥子に心を動かされたのか、進藤社長はやっと頭を上げた
そして、はっきりこう言った
「私の人生で唯一の誇りは、奈南美を産んだことです」
目の前にいる人とお互いに挨拶をすませて、妻の顔を見てみると明らかに怒っているご様子
顔は笑っているが、目が全く笑っていない
無理もない
妻の親友、進藤奈南美を泣かせた張本人、彼女の母親という人が僕達の目の前にいるのだから
これは何かしそうだな
と思っていたら、吉田社長夫妻がやってきた
「皆川部長、すまないね。結局君に進藤社長の案内役をさせてしまうなんて。奥さんも、申し訳ない」
「いえ、全然構いませんよ。ね?祥子」
「ええ。こちらの進藤社長にお聞きしたいことがあったので。ちょうど良かったです」
全くうちの妻は可愛い顔をして恐ろしいことをしてくれる……
吉田社長も何かを察したのか、ちょっと場所を変えようと、社長の控室へと移動した
そして、祥子は進藤社長の前に立って真っ直ぐ見据えた
先に口を開いたのは進藤社長だった
「祥子さんとおっしゃいましね。私に聞きたいこととはなんですか?」
「私の親友は……奈南ちゃんは、あなたに『愛された覚えがない』と言っていました。あなたの返答次第では私はあなたを許さないし、同じ母親として軽蔑します」
「母親?あなた、お子さんがいらっしゃるの?」
「はい。数ヶ月前に娘を出産しました」
「そう」
進藤社長は小さく息を吐いて、祥子を見て笑った
とても寂しげに
「祥子さん。娘を、奈南美をよろしくお願いします」
そう言って、進藤社長は祥子に深々と頭を下げた
その姿に、吉田社長夫妻も僕も何も言えなかった
ただ、祥子は違った
「進藤社長。いえ、お母さん。奈南ちゃんは、そんな事を望んでないんです。私に頭を下げたところで、気持ちは伝わらない。分かっているんですよね?」
それでも進藤社長は頭を上げない
そんな進藤社長に、祥子は更に言葉を重ねる
「どんな事情があったのかは知りません。でも、私は娘に『産まなきゃよかったのに』なんて、死んでも言われたくない。お母さんもそうなんでしょ?奈南ちゃんにそんな事言われる為に、奈南ちゃんを産んだんじゃないでしょ?答えてください!」
最後は悲鳴に近かったと思う
そんな祥子に心を動かされたのか、進藤社長はやっと頭を上げた
そして、はっきりこう言った
「私の人生で唯一の誇りは、奈南美を産んだことです」