可愛げのない彼女と爽やかな彼氏
「ねえ、奈南美さん」
「ん?」
「ゴム使わなくて、本当によかったの?」
相川くんは私にお湯をかけながら聞いてきた
「もうすぐ式も挙げるんだし、問題ないでしょ?」
「そうだけど」
「もしかして、相川くん。まだ子供はいらないの?」
「それはない。今すぐにでも奈南美さんとの子供が欲しい」
即答する相川くんにぷっと吹き出した
「じゃ、何でそんなこと聞くの?」
「いや、奈南美さんは仕事したいんじゃないのかなぁ?て思ってさ。なんだかんだ言って、仕事好きでしょ?うちの会社は育休と産休がちゃんと取れるから辞める必要はないけど、1年のブランクは避けられないだろ?」
ああと思って私は相川くんの手を握り、指を絡めた
「相川くんには言ってなかったけど、子供が出来たら仕事辞めるつもりだったの」
「えっ?」
相川くんは心底びっくりしたように私の顔を見た
「仕事は好きよ?でも今の仕事じゃ、両立は無理だと思うの」
「まあ、あの社長の秘書だしね。でも、異動願とか出せば両立できる部署はあるんじゃないか?俺だって協力するし。せっかくの奈南美さんのキャリアが勿体無いよ?」
「そうかもしれないけど。理由はそれだけじゃないから」
「それだけじゃないって、じゃあ何?」
「……自分の子供には、私みたいな寂しい思いはさせたくないから」
「奈南美さん」
そう言うと、相川くんは私を強く抱きしめた
相川くんとの結婚が近づく程に、いつか産まれるであろう子供の事を考えるようになった
すると、思い出すのは自分が子供の頃のこと
あんな寂しい思いを自分の子供にさせるくらいなら、自分が今まで積み上げてきたキャリアより、子供と一緒に過ごしたいと思うようになっていた
「本当にいいの?それで」
「うん」
「後悔しない?」
「うん、絶対しない」
「分かった」
相川くんは納得すると私の首筋にキスをした
「でもそうなると、俺の願掛け叶いそうにないな」
「願掛けって?なんかそんなこと言ってたわね。結局なんだったの?」
それは付き合い始めた頃に相川くんが言っていたこと
願いが叶えば、私の名前を呼び捨てで呼び、敬語も辞める
同棲し始めた頃には願いが半分叶ったからと敬語は辞めたけど
「聞きたい?」
「うん」
「どうしよっかな〜」
「もう、いい加減言いなさいよ」
すると相川くんは諦めたように言った
「奈南美さんの肩書きより昇進しますように」
「えっ?」
「一応、男のプライドってのもあるんですよ?進藤課長?」
拗ねたような顔をする相川くんが可笑しくてぷっと笑った
「ひどいな、笑うことないだろ?」
「じゃ相川くんは一生私のことを呼び捨てで呼べないってことね」
「いや、違う。奈南美さんが辞めても、俺はいつか昇進するから、一生っていうことはない。でも、いい機会だし結婚したら呼び捨てで呼ぶことにしよう」
「ええ〜ダメよ!」
「じゃ聞くけど、奈南美さんはいつまで俺のことを『相川くん』って呼ぶの?自分ももうすぐ『相川』になるんだよ?」
「うっ」
私が言葉に詰まると相川くんは口角をあげて笑っている
「どうするの?まさか、結婚してからも俺に抱かれてる時だけ『健次』って呼ぶつもり?」
「そんな恥ずかしいこと言わないでよ!」
「じゃ、どうする?今からお互いに呼び方変える?それとも、今まで通りにいく?」
「……るわよ」
「ん?聞こえないよ?奈南美さん」
「変えるわよ!変えればいいんでしょ?馬鹿健次!」
「よく出来ました。偉いね奈南美」
そう言うと相川くん……健次は私を抱き上げてベッドへと移動した
「もう、体拭いてないからっ」
「うるさい、黙って」
「やっ、健次」
「日曜日まで覚悟してね、奈南美」
そう言った健次は、有言実行とばかりに思う存分私を抱いた
おかげで月曜日は疲れた体に鞭打って会社に行く羽目になった
「ん?」
「ゴム使わなくて、本当によかったの?」
相川くんは私にお湯をかけながら聞いてきた
「もうすぐ式も挙げるんだし、問題ないでしょ?」
「そうだけど」
「もしかして、相川くん。まだ子供はいらないの?」
「それはない。今すぐにでも奈南美さんとの子供が欲しい」
即答する相川くんにぷっと吹き出した
「じゃ、何でそんなこと聞くの?」
「いや、奈南美さんは仕事したいんじゃないのかなぁ?て思ってさ。なんだかんだ言って、仕事好きでしょ?うちの会社は育休と産休がちゃんと取れるから辞める必要はないけど、1年のブランクは避けられないだろ?」
ああと思って私は相川くんの手を握り、指を絡めた
「相川くんには言ってなかったけど、子供が出来たら仕事辞めるつもりだったの」
「えっ?」
相川くんは心底びっくりしたように私の顔を見た
「仕事は好きよ?でも今の仕事じゃ、両立は無理だと思うの」
「まあ、あの社長の秘書だしね。でも、異動願とか出せば両立できる部署はあるんじゃないか?俺だって協力するし。せっかくの奈南美さんのキャリアが勿体無いよ?」
「そうかもしれないけど。理由はそれだけじゃないから」
「それだけじゃないって、じゃあ何?」
「……自分の子供には、私みたいな寂しい思いはさせたくないから」
「奈南美さん」
そう言うと、相川くんは私を強く抱きしめた
相川くんとの結婚が近づく程に、いつか産まれるであろう子供の事を考えるようになった
すると、思い出すのは自分が子供の頃のこと
あんな寂しい思いを自分の子供にさせるくらいなら、自分が今まで積み上げてきたキャリアより、子供と一緒に過ごしたいと思うようになっていた
「本当にいいの?それで」
「うん」
「後悔しない?」
「うん、絶対しない」
「分かった」
相川くんは納得すると私の首筋にキスをした
「でもそうなると、俺の願掛け叶いそうにないな」
「願掛けって?なんかそんなこと言ってたわね。結局なんだったの?」
それは付き合い始めた頃に相川くんが言っていたこと
願いが叶えば、私の名前を呼び捨てで呼び、敬語も辞める
同棲し始めた頃には願いが半分叶ったからと敬語は辞めたけど
「聞きたい?」
「うん」
「どうしよっかな〜」
「もう、いい加減言いなさいよ」
すると相川くんは諦めたように言った
「奈南美さんの肩書きより昇進しますように」
「えっ?」
「一応、男のプライドってのもあるんですよ?進藤課長?」
拗ねたような顔をする相川くんが可笑しくてぷっと笑った
「ひどいな、笑うことないだろ?」
「じゃ相川くんは一生私のことを呼び捨てで呼べないってことね」
「いや、違う。奈南美さんが辞めても、俺はいつか昇進するから、一生っていうことはない。でも、いい機会だし結婚したら呼び捨てで呼ぶことにしよう」
「ええ〜ダメよ!」
「じゃ聞くけど、奈南美さんはいつまで俺のことを『相川くん』って呼ぶの?自分ももうすぐ『相川』になるんだよ?」
「うっ」
私が言葉に詰まると相川くんは口角をあげて笑っている
「どうするの?まさか、結婚してからも俺に抱かれてる時だけ『健次』って呼ぶつもり?」
「そんな恥ずかしいこと言わないでよ!」
「じゃ、どうする?今からお互いに呼び方変える?それとも、今まで通りにいく?」
「……るわよ」
「ん?聞こえないよ?奈南美さん」
「変えるわよ!変えればいいんでしょ?馬鹿健次!」
「よく出来ました。偉いね奈南美」
そう言うと相川くん……健次は私を抱き上げてベッドへと移動した
「もう、体拭いてないからっ」
「うるさい、黙って」
「やっ、健次」
「日曜日まで覚悟してね、奈南美」
そう言った健次は、有言実行とばかりに思う存分私を抱いた
おかげで月曜日は疲れた体に鞭打って会社に行く羽目になった