今日から家族になりまして。



「空、すごい喜んでたよ。「陽菜が話してくれるようになった!」って」




空、そんなこと言ってたんだ。




「だから、ありがとうね」




空のお父さんは、また私に優しく微笑む。




「……なんで、怒んないの。私、いっぱいひどいこと言ったのに」




拳に力を入れながら、私は空のお父さんに向かって口を開く。




あんなに暴言しか吐かなかった私に、なんでそうやって優しく笑いかけられるの?




怒らないの?




普通怒るでしょ?




ムカつくでしょ?




なんで、笑えるのよ……




「なんでって、だって陽菜ちゃん、俺たちが怒るようなこと、言ってないでしょ」




ははっと笑ながら空のお父さんは言った。




「は?なんで?言ったよ、めちゃくちゃに言った!


あの時、絶対追い出してやるって思った!


あんたのことだって、絶対悪いやつだって思った!!


私の頭の中では、あんたらのことなんて敵だとしか思ってなかった!!


だから……私はあんたらのことを、めちゃめちゃに言いたいだけ言った。


なのに、なんでそんなヘラヘラ笑えるわけ。


普通怒るでしょ。


意味わかんない。」




また、私は大きな声で空のお父さんにひどいことを言い放つ。




空のお父さんの顔を見ることはせず、下を向いて、私はただひたすらに言葉だけをぶつけた。




あーあ。


なんで私、こんな言い方しかできないんだろ。


ほんと、私ってクズだな……。


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