今日から家族になりまして。



陽菜は言い終わると、よほど力を込めていたのか息を切らしていた。




小さな肩を、小刻みに震わせて。




「……そりゃあ、人の気持なんてわからないよ。


テレパシーとかないし、超能力だってないしな。


口で言わなきゃわかんないこと多いに決まってる。」




「…………だったら、わかったような口聞かないでよ」




「……でも、俺、その言葉の意味、わかる気がする。


陽菜ちゃんが、なんで他人が嫌で、敵だと思うのか


理由はよくわかんねぇけど


俺も……そう思ってた時があったんだ。」




俺は、少しだけ自分の話をしてみることにした。




俺のことを何も知らないんだ。




警戒して当然だ。




相手に心を開いてほしいのなら




まずは俺から、心を開かないと。




そして、心を開いていることを




相手に示さなくちゃいけない。




そうするには、俺がまず自分のことを話さないといけないと思ったのだ。


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