今日から家族になりまして。
緊急事態だと感じ取り、俺はすぐさまドアノブに手をかけ、勢いよくドアを開けた。
「陽菜!!」
すると、崩れ落ちたように座り込んでいる陽菜がそこにいた。
「陽菜……!?大丈夫か!?」
俺は陽菜の目線に合うようにかがむ。
顔を伏せていた陽菜は、俺の声で気がついたみたいで、バッと顔を上げた。
陽菜の目には、涙が浮かんでいる。
「どうした!?何があった……」
俺が陽菜に、何があったのか尋ねようとした時だった。
陽菜が、俺にしがみついてきたのだ。
「……ひ、な!?」
俺は思ってもみなかった出来事に、思わず焦ってしまう。
陽菜は俺の肩をがっしりと持ち、胸に顔を埋めていた。
……泣いているようだ。
体はひどく震えていて、なにかに怯えているようだった。
俺は尻もちをつき、陽菜に押し倒されるような体勢になってしまっていて、身動きが取れない。
「……どうしたんだよ。大丈夫だって」
俺は、陽菜に触れていいのかどうか迷いつつ、そっと陽菜の肩に手を添えた。
陽菜からは、拒絶するような様子はない。
とりあえず何か混乱していたみたいだったから、落ち着かせようと左手で自分の体重を支えながら、右手で陽菜の背中をポンポンと軽く叩いた。
徐々に陽菜は泣きやんでいき、落ち着いていくのがわかる。
「もう大丈夫か?」
俺の胸に顔を埋める陽菜に声をかけた。
「…………わた……し……」
俺の肩をつかむ力がゆっくりと解けていって、陽菜はやっと顔を見せる。