結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
自分が守ってもらうことなんて、あまり考えたことはなかった。そうしてくれる人がいなかったから。

さっきのことは勘違いだったとはいえ、彼は私を守ろうとしてくれた。

そう考えると、心の奥の柔らかい場所がくすぐられるような感覚がして。私を守ってくれる“誰か”は、これからもこの温かい手を持つ人だったらいいのに、と一瞬願ってしまった。


私の自宅まで送ってくれるというので、お言葉に甘えて心地良い運転に身を任せていると、窓の外に独特な光の群れが見えてきた。

街中の色とりどりの夜景とはまた違う、プラチナ色の光がきらめいている。


「あれって、工場の明かりですよね? 綺麗……」

「あれは製油工場だな。見られるところを通っていくか」


ハンドルを握る社長の嬉しい言葉に、私はすぐさま「はい!」と返事をした。

数分走り、視界が開けた海岸沿いに出ると、対岸にある製油所が幻想的な明かりを放っている。絶景ポイントと言える場所にもかかわらず人はほとんどいないため、まさに穴場だ。

その駐車スペースに停め、しばらく車内から眺めることにした。

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