結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。

「ん、ぁ、しゃ、ちょ……っ」


なにこれ、やばい。すごく身体が熱くて、力が入らない。脳みそごと溶かされてしまいそうだ。

このままじゃダメだと思うのに、彼を押し返していた手は、いつの間にかぎゅっとシャツを掴んでいた。


どのくらいの時間そうしていたのか、ようやく唇が離されたとき、私は息が上がってすっかり骨抜きにされてしまっていた。

呼吸を整えながら、社長の濡れた唇とセクシーすぎる表情をぼんやり見つめていると、彼はなぜか苦笑を漏らす。


「そんな顔されると、まだやめたくなくなるんだが」


ドキン、と性懲りもなく心臓が強く鳴る。

今自分がどんな顔をしているかわからないけれど、とにかく恥ずかしい。目を逸らして、「もうやめてください」とボソッと呟いた。

私に覆い被さっていた彼がクスッと笑いをこぼして離れていき、徐々に落ち着きを取り戻していく。

……怖かった。社長のことではなく、自分が自分じゃなくなってしまいそうで、怖かった。

きっとこれが、理性を崩されるということ。社長は身をもってそれを教えてくれたのだと思う、たぶん。