結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
なんて、腕まくりした白衣とインテリ感漂う眼鏡の組み合わせに、うっかり見惚れてしまいそうになりながら考えていると、咲子ちゃんが少し口を尖らせて言う。


「綺代さん、目鼻立ち整っててすごく綺麗だし、スタイルもいいじゃないですか。白衣に眼鏡とか美人リケジョって感じだし、“綺代さんのヒールに踏まれたい!”って思う男の人も絶対いると思うんだけどなぁ」

「嫌よ、そんな人」


据わった目になってバッサリ切る私。咲子ちゃんの偏見がすごいな。

彼女は私の外見をこうやって褒めてくれるけれど、本当に私が美人だったらもっとラクに彼氏ができているはず。

容姿が関係ないとすると、やっぱり性格が問題なのか。化学や生物の話とか、“効率”という言葉が人よりちょっと好きなだけなのに。

いつの頃からか、私たちのように理系専門で研究をしている女子がリケジョと呼ばれるようになり、世間が持つそのイメージも、頭が良さそうだとかクールだとか、結構偏っているように思う。

それに当てはまっていることも多々あるけれど、中身は少女漫画のような甘い恋愛に憧れる普通の女子だ。当然、彼氏だって欲しい。

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