結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「どうしたら効率良く彼氏が作れるんだろう……」


ボソッと独り言を漏らし、お見合い以外でいい方法はないものかと思案していると、デスクに立てたファイルから飛び出している一枚の紙が目に入る。

それは、チョコレートには媚薬効果が含まれていることが、イタリアの医学研究で立証された、という記事。

たまたま雑誌で見つけて取っておいたそれを手に取り、両側から覗き込んでくるふたりに言う。


「こうなったら、やっぱりやるしかないかしら。媚薬効果を得られるチョコレートの開発」


ぶっ飛んでいる考えのように思われそうだけど、私は結構本気だ。

記事によると、チョコレートには、まるで恋に落ちたかのように胸をドキドキさせる効果があるのだという。これをもっと研究すれば、媚薬チョコを作ることも可能なんじゃ……?

むくむくと開発欲が湧いてくる私に、咲子ちゃんがぱっと顔を輝かせる。


「そうですよ! これがもしうまくいったら、狙った人をその気にさせることができるかもしれませんからね」

「でしょ!?」


乗り気になってくれた彼女と盛り上がり始め、氷室くんも腕を組んで軽く頷いた。

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