結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
氷室くんは小さく頷き、私を傘に入れたままエントランスまで送ってくれる。そして、「お疲れ様でした」と挨拶をして、雨の中を歩き出した。
彼を見送り、今度は入り口のドアの邪魔にならないよう隅に立っている綾瀬さんに歩み寄る。
すると、彼女は黒とグレーのストライプ柄の傘を差し出してきた。見た感じ、男性物のようだ。
「社長から、あなたにこちらを渡してほしいと頼まれました。傘を差さずに立っている姿が窓から見えたようですが、社長は来客中ですので」
「そうなんですか……!」
私は目を丸くして、一旦上質そうな傘を受け取る。
社長、私のためにわざわざ綾瀬さんに頼んだの? ここまで心配してくれなくてもいいのに。
相変わらずの過保護さに、思わず頬が緩む。私を気にかけてくれたことが、素直に嬉しい。
今だけ難しいことは考えるのをやめ、傘を見下ろして社長の顔を思い浮かべていると、私を観察するようにじっと見ていた綾瀬さんがずばりこんなことを言う。
「倉橋さんは、泉堂社長のことが好きなのかしら?」
突然図星を指され、なんの準備もしていなかった私は、「へっ!?」とすっとんきょうな声を上げた。
彼を見送り、今度は入り口のドアの邪魔にならないよう隅に立っている綾瀬さんに歩み寄る。
すると、彼女は黒とグレーのストライプ柄の傘を差し出してきた。見た感じ、男性物のようだ。
「社長から、あなたにこちらを渡してほしいと頼まれました。傘を差さずに立っている姿が窓から見えたようですが、社長は来客中ですので」
「そうなんですか……!」
私は目を丸くして、一旦上質そうな傘を受け取る。
社長、私のためにわざわざ綾瀬さんに頼んだの? ここまで心配してくれなくてもいいのに。
相変わらずの過保護さに、思わず頬が緩む。私を気にかけてくれたことが、素直に嬉しい。
今だけ難しいことは考えるのをやめ、傘を見下ろして社長の顔を思い浮かべていると、私を観察するようにじっと見ていた綾瀬さんがずばりこんなことを言う。
「倉橋さんは、泉堂社長のことが好きなのかしら?」
突然図星を指され、なんの準備もしていなかった私は、「へっ!?」とすっとんきょうな声を上げた。