結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
それは、理性だけで考えていたら得られない、不思議で素敵な感情。誰に対しても持てるわけではい、特別なものだ。

今目の前にいるあなたに、それだけの気持ちがあるのか確かめたい。


「葛城さんは、私にそういう感情が湧きますか? もしも私が、なにも与えることができなくなっても、愛し続けてくれますか?」


本当に愛してくれているのなら、もっとちゃんと向き合おう。そうでないのなら、もう一度考え直してほしい。

強い想いを、まっすぐ向ける視線に込めて問いかけた。表情を強張らせて制止している彼は、まだ口を開こうとしない。

どんな答えが返ってくるか、胸をざわめかせながら待っていた、そのとき……。


「そこで返事を迷っているようじゃ、男が廃りますよ」


突然個室の引き戸が開かれたかと思うと、聞き慣れた声が割り入ってきた。そこに立つ人物を見た瞬間、息が止まりそうなほど驚愕する。


「しゃ、ちょ……!!」


美しく凛とした表情で大胆不敵に現れたのは、会社からそのまま来たことがわかるスーツ姿の泉堂社長。

なんで、どうしてここに!? いつからいたの!?

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