結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
潔い決断に呆気に取られていると、彼はゆっくり私の隣に歩み寄ってくる。
「それに、ひとりの男として言わせていただくと……」
そこで言葉を切った社長は、私と葛城さんとの間を遮るように片手をテーブルについた。少し身を乗り出し、目を見張る葛城さんに不敵で美しい笑みを向ける。
「仕事のために好きな女を渡すような、要領の悪い男じゃないんでね、俺は」
──ドキン!と、激しく心臓が揺れた。
今、“好きな女”って言ったよね……? まさか社長も、同じ気持ちだったの!?
夢は遊園地を出たときに終わったと思っていたのに、まだ続いているのだろうか。だって、容易に信じられるわけがない。こんな、奇跡みたいなこと……。
呆然とする私の耳に、「綺代」と呼ぶ、甘く低い声が届いた。
こちらを振り返る彼は、獲物を捉えた獣を思わせる力強い瞳で見つめてくる。
呼吸もままならないほど胸を高鳴らせる私に、社長という鎧を脱ぎ捨てたかのような彼は、真剣に問いかける。
「お前が本当に好きな男は誰だ? お前の本能は、誰を欲しがってる?」
私の唇は自然と開き始める。固く閉じたはずの扉がこじ開けられ、そこから本心が引っ張り出されるようだった。
「それに、ひとりの男として言わせていただくと……」
そこで言葉を切った社長は、私と葛城さんとの間を遮るように片手をテーブルについた。少し身を乗り出し、目を見張る葛城さんに不敵で美しい笑みを向ける。
「仕事のために好きな女を渡すような、要領の悪い男じゃないんでね、俺は」
──ドキン!と、激しく心臓が揺れた。
今、“好きな女”って言ったよね……? まさか社長も、同じ気持ちだったの!?
夢は遊園地を出たときに終わったと思っていたのに、まだ続いているのだろうか。だって、容易に信じられるわけがない。こんな、奇跡みたいなこと……。
呆然とする私の耳に、「綺代」と呼ぶ、甘く低い声が届いた。
こちらを振り返る彼は、獲物を捉えた獣を思わせる力強い瞳で見つめてくる。
呼吸もままならないほど胸を高鳴らせる私に、社長という鎧を脱ぎ捨てたかのような彼は、真剣に問いかける。
「お前が本当に好きな男は誰だ? お前の本能は、誰を欲しがってる?」
私の唇は自然と開き始める。固く閉じたはずの扉がこじ開けられ、そこから本心が引っ張り出されるようだった。