結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
そして、目が点になった。こちらに笑いかけているのは、くりっとした瞳で長い黒髪の、ランドセルを背負った可愛らしい女の子だったから。


「え? 女の子?」

「兄貴の子供だ。俺の姪っ子」

「めっ、姪!?」


予想外すぎる事実に驚愕し、思いっきり叫んでしまった。

嘘でしょ……。今までずっと私が悩まされていたのが、小学生の姪御さんだったなんて!!

唖然としてひまりちゃんの写真を凝視する私の隣で、達樹さんはしみじみとこう語る。


「ちょっと前まで『タツおじちゃんとけっこんするー!』とか言ってたのに、彼氏ができたってあっさり離れていきやがって……。まだ二年生だぞ? 最近の子供はマセてるよなぁ」


まさか、この間漏らしていた『もう俺のものではないけどな』という言葉の意味は、そういうことだったの?

これまでの達樹さんの言動を振り返ってみると、他にも思い当ることがあり、私は微妙な顔で呟く。


「もしかして、ヘアアレンジが得意だったり、三年前に遊園地に来たっていうのは……」

「あぁ、全部ひまりのためだ」


やっぱり! 私の髪を結ぶのがやけに手慣れていたのも、ひまりちゃんにやってあげていたからだったのね!

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