結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
そう考えると、指切りをしてきたのも同じ理由だろう。納得だ。早とちりしてしまっていた自分がものすごく恥ずかしい。

けど、綾瀬さんのあの言い方じゃ誤解しても仕方ないよね。もしかしたらそれが目的で、わざと勘違いさせるように言ったのかもしれない。

完璧に踊らされてしまった……と脱力する私に、達樹さんはスマホを操作して別の写真を見せてくれる。その様子はまるでお父さんだ。親バカの。


「これとか可愛いだろ、お前をちっちゃくしたみたいで。泣いて目をこすってるところとかそっくりだったぞ」


珍しく締まりのないデレた顔をする彼が見せてくるのは、眼鏡をして髪をひとつに結んだひまりちゃんの姿。

確かに、彼女は眼鏡をしていてもとっても可愛いし、このスタイルは私と同じだけど……。


「結局、私は子供扱いじゃないですか……」


不満げに呟き、がっくりとうなだれた。

似ているのが元カノじゃなくてよかったものの、子供というのもまた複雑だ。

人間というのはなんとも欲深いもので、両想いだとわかった途端、もっと女として扱われたいという欲が出てきてしまう。

そんな私の心中を察したらしく、達樹さんは呆れたように小さく笑ってスマホをしまうと、私の頭を自分の胸に引き寄せた。

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