結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「それとこれとは別だって。さすがにガキにキスする趣味はない」


単純な私は、それもそうか、とすぐに思い直す。

さっきのキスだって、ディープでかなり大人の口づけだったもの。あんなの恋人にしかしないよね……というか、私以外にしてほしくない。

獣のように貪るキスの感覚が蘇ってきて恥ずかしくなりつつ、ちょうどたどり着いた達樹さんの愛車に乗り込もうとする。

そのとき、助手席のドアを開けてくれている彼が、平然と恐ろしいことを言い放った。


「安心しろ。約束を破ったお前には、キス百回より重い刑が待ってる」


ギクリとして身体が強張り、サッと血の気が引く。

そういえば、氷室くんからすべて聞いたということは、以前から葛城さんと連絡を取っていたことも当然バレているのだ。

怖い怖い! 一体どんな罰を与えるつもりですか!?

キス百回じゃ済まないっていうと……と考えて、ベッドの上でのお戯れを妄想してしまう私、花火に添加される元素と一緒に打ち上げられてしまえ。

顔色を青くしたり赤くしたりする忙しない私は、のっそりと助手席に座り、運転席にやってきた達樹さんに恐る恐る訴える。

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