結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
ハイスペックな彼の熱量が急接近
真っ暗だった世界に、ひとつの明かりが生まれた。それはだんだんと広がって、眩しく感じるくらいに明るくなっていく。
それと同じように、頭に響く誰かの声が次第に大きく聞こえてくる。
「綺代。きーよ。いつまで寝てるんだ」
柔らかく、とても懐かしい低い声。
あぁ、もう朝なのか。だからお父さんが起こしてくれているのね……。
……お父さん!?
「ぅえっ!?」
変な声を上げてガバッと起き上がると、ベッドに座る私の顔を覗き込む、懐かしく愛しい人の姿が飛び込んできた。
間違いなく私の父だ。私が小学一年生のとき、事故で亡くなったはずの。
にこやかに微笑んでいる彼の顔は、シワもなく若々しい当時のまま。周りをよく見ればここは私の部屋で、今はどこにしまったかもわからない赤いランドセルが机の上に置かれている。
……タイムスリップ? いや、そんな非科学的なことは信じないわよ。
じゃあこの世界はなんなんだ、と眉根を寄せていると、お父さんが嬉しそうに私の肩に手を置く。
「久しぶりだなぁ。こんなに綺麗になっちまって。まぁ、俺はずっと空から見守ってたけどな」