結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
なるべくしてなる甘い運命論
──見慣れた自分の部屋、赤いランドセルが乗った机、目の前にいる、もう亡くなったはずの父。
いつかも見たような気がするこの光景を再び目にした私は、そういえば以前こんな夢を見たことがあって、今もそれと同じ世界にいるのだと理解した。
夢を夢だと認識できているなんてすごい、とぼんやり思っていると、お父さんがにっこり笑って私の頭を撫でる。
「よかったなぁ綺代、いい人が見つかって。これで父さんも安心してあの世に逝ける」
「もう逝ってるでしょ」
冷静につっこむと、彼はおかしそうに笑った。かと思えば、少し真面目な顔になってこんなことを言う。
「俺は確信してたよ。どんな人が現れても、綺代は絶対タツくんを選ぶって」
「調子いいんだから」
「本当だよ。だって、こうなることは必然的だったんだから」
なぜそんなふうに言い切れるのかわからず、私は首をかしげる。
「……なんで?」
「そのうちわかるよ」
お父さんはそう言って、ただ穏やかに微笑むだけだった。