結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
達樹さんの恋人になって早八ヶ月。交際は至極順調で、それまでの研究一筋だった生活から打って変わった甘い日々を過ごしている。
私たちのやり取りに笑いながら洗い物をするお母さんは、なんだか遠い目をして言う。
「思い出すわねぇ、ふたりが付き合うようになったときのこと。丈くんと食事しに行ったと思ったらタツくんと帰ってきたから、もうびっくりしてね~」
「それで彼が、王子様スマイルで『綺代さんを奪ってきてしまいました』って言ったんでしょ? なんのドラマよ」
呆れたように笑う紫乃ねえの言葉で、私もあのときのことを思い出し、ちょっぴり恥ずかしくなる。
葛城さんとのことが一件落着したあと、家まで送ってくれた達樹さんが、お母さんにあっさりと暴露してしまったのだ。
おかげで自分から報告する必要がなくなってありがたかったけど、ふたりに散々冷やかされることになった。
あれだけ葛城さん推しだったお母さんもコロッと変わって、『できれば綺代と同じお墓に入ってやってください』と、墓石より重いお願いをして頭を下げていたっけ……。
「彼のこと、しっかり掴まえておきなさいよ。未来の社長夫人」
うふ、と笑って茶化す母に、私は微妙な表情を返してお味噌汁をすすった。
私たちのやり取りに笑いながら洗い物をするお母さんは、なんだか遠い目をして言う。
「思い出すわねぇ、ふたりが付き合うようになったときのこと。丈くんと食事しに行ったと思ったらタツくんと帰ってきたから、もうびっくりしてね~」
「それで彼が、王子様スマイルで『綺代さんを奪ってきてしまいました』って言ったんでしょ? なんのドラマよ」
呆れたように笑う紫乃ねえの言葉で、私もあのときのことを思い出し、ちょっぴり恥ずかしくなる。
葛城さんとのことが一件落着したあと、家まで送ってくれた達樹さんが、お母さんにあっさりと暴露してしまったのだ。
おかげで自分から報告する必要がなくなってありがたかったけど、ふたりに散々冷やかされることになった。
あれだけ葛城さん推しだったお母さんもコロッと変わって、『できれば綺代と同じお墓に入ってやってください』と、墓石より重いお願いをして頭を下げていたっけ……。
「彼のこと、しっかり掴まえておきなさいよ。未来の社長夫人」
うふ、と笑って茶化す母に、私は微妙な表情を返してお味噌汁をすすった。