結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
そこまでつらつらと話して、はっとした。

いっけない、会話のキャッチボールができていることが嬉しくて、つい調子に乗って堅苦しい話を……!

ほら、甘利さんキョトンとしてさらにゆるキャラ感出ちゃってるし!


「す、すみません! こんな、たいして面白くもない話しちゃって……」

「あ、いえ! さすが研究員さん、詳しいなぁ。そうか、それで白いんですね~」


失敗したと思ったけれど、甘利さんはまったく嫌な顔をせずニコニコして頷いている。本当にいい人ね……。

救われた気分になっていると、彼はコーヒーに口をつけたあと、再び会話を広げてくれる。


「倉橋さんは優秀でしょう。趣味も読書でしたよね? 勤勉なんだろうな。どんな本を読まれるんですか?」

「あ、えっと……雑食ですけど、よく読むのは推理モノでしょうか」


今度こそヘマはしないと誓い、気を取り直して答えた。甘利さんはなにかを思いついたように、ぱっと表情を明るくする。


「あぁ、“じっちゃんの名にかけて!”的な」

「そうですそうです、“謎はすべて解けた!”的な」


彼の発言に乗っかって、ふたりで笑い合った。うん、なんか楽しい。

再びテンションが上がってくる私に、甘利さんは正直に言う。

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