結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
でも、さりげなく『今日の姿“も”』と言ってくれるあたり、些細な気遣いも忘れない細やかさが表れている。どれだけ非の打ちどころがないんだ、このお方は。

社長は照れまくる私にクスッと笑い、そっと背中に手を当てて、高級車のエンブレムがついたそれの助手席に乗るよう促した。

ドアも開けて完全にエスコートしてくれるから、まるでお嬢様にでもなったかのよう。

彼の香りが漂うラグジュアリーな雰囲気の車内に乗り込むと、鼓動がますます激しくなる。

これ、社長の愛車でしょう? 特別な助手席に私なんかが乗ってしまっていいのかな。休日に私を誘うくらいだし、きっと彼女はいないのだろうけど。

でも、なんだかデートというよりは仕事の延長みたいな感じがする。

社長がスーツ姿だから? そういえば、なんで休日なのにスーツを着ているんだろう。

ぐるぐると考えを巡らせているうちに社長も運転席に座り、さっそく車が発進する。

この動く密室にふたりきりだということを強く意識してしまい、諸々の考えはすぐにどこかへ消えていった。


「まずは眼鏡屋から行きましょう。馴染みの店とか、行きたい店はありますか?」

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