結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「とても似合ってますよ。私は好きですが、君は?」


どっくん、と心臓がジャンプする。

そんな色気ダダ漏れの流し目を向けて“好き”とか言われると勘違いしそうになるし、私に振らないでほしいんですが!

速く打つメトロノームみたいな鼓動を感じながら、真っ赤になっているだろう顔を俯かせて答える。


「す、好き、です……」


なにコレ、告白の予行演習!?

よくわからない恥ずかしさでいっぱいになる私の前でしたり顔をする社長は、「これ、プレゼントさせてください」と言って、さっそく店長さんと話を進めていた。

私が遠慮していること、社長はお見通しだったんだろうな……ニクいわ。


おとなしくプレゼントしてもらうことにした私は何度もお礼を言い、店内の奥のスペースに移動すると、視力検査をしてレンズを選んだ。

ちょうどいい度数の在庫があるらしく、四十分ほど待てば受け取れるというので助かる。

それらが終わって売り場に戻ったとき、社長は長い脚を組んでソファに座り、タブレットを操作していた。

どうやら仕事をしているようで、こういう時間も無駄にしないところはさすがだ。

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