結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「彼は根っからの理系人間で、中でも元素の周期表を眺めるのが好きだそうです」
若干、“理解しがたい”と言いたげな口調になる社長に対し、私は思いっきり葛城さんに同意だ。
「わかります! 元素って奥が深いですからね。私たち人間も、宇宙も、世の中のものすべてがこの子たちでできているんだって思うと、すごくロマンを感じるというか……」
いきなり饒舌になっていた自分にはっとして、そこまでで口をつぐんだ。
いけない。元素について語り出すとか、私またキモい人になっていたわ! これじゃ社長にまで引かれてしまう……。
自分に落胆し、私はしおしおと頭を垂れた。
しかし隣から聞こえてくるのは、バカにしているわけではなさそうな、でも楽しげにクスクスと笑う声。
「そうだと思って、君を選んだんです」
意外にも、私のこんなマニアックな部分をすでに知っているかのようなひとことが返ってきた。
隣を見やれば、彼はしたり顔で口角を上げている。
「この間君のメモ帳を拾ったとき、偶然開かれたページを見てしまって。そこに元素記号について詳しく書かれていたので、この子にしよう、と決めました」
「あっ!!」
すぐに思い当たり、引き気味に叫んで口元を手で覆った。
若干、“理解しがたい”と言いたげな口調になる社長に対し、私は思いっきり葛城さんに同意だ。
「わかります! 元素って奥が深いですからね。私たち人間も、宇宙も、世の中のものすべてがこの子たちでできているんだって思うと、すごくロマンを感じるというか……」
いきなり饒舌になっていた自分にはっとして、そこまでで口をつぐんだ。
いけない。元素について語り出すとか、私またキモい人になっていたわ! これじゃ社長にまで引かれてしまう……。
自分に落胆し、私はしおしおと頭を垂れた。
しかし隣から聞こえてくるのは、バカにしているわけではなさそうな、でも楽しげにクスクスと笑う声。
「そうだと思って、君を選んだんです」
意外にも、私のこんなマニアックな部分をすでに知っているかのようなひとことが返ってきた。
隣を見やれば、彼はしたり顔で口角を上げている。
「この間君のメモ帳を拾ったとき、偶然開かれたページを見てしまって。そこに元素記号について詳しく書かれていたので、この子にしよう、と決めました」
「あっ!!」
すぐに思い当たり、引き気味に叫んで口元を手で覆った。