結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
気難しいことは確かだけれど、愛嬌がある部分を見つけたせいか、なんだか憎めない人だったな。話も合うし、とにかく美形だし。

涼しい夜風と余韻を感じながら、遠ざかるテールランプを見つめ続けたまま言う。


「二次会禁止だなんて規則ありましたっけ? 科学についてもっと語り合いたかった……」

「お前は男のことをわかってないな。分析が好きなくせして」


素に戻った社長のため息交じりの声が降ってきて、私はそちらへと目線を移す。見上げれば、彼は呆れたような顔で腕を組んでいる。


「あんなの口実に決まってる。語り合うのが身体で、っていうんなら間違ってないだろうが」

「……ぇえっ!!」


数秒、社長の言葉の意味を考え、理解した私はギョッとして叫んだ。

“身体で語り合う”ということは、つまり、性の交渉ということですか!? 社長が断ってくれなければ、私は葛城さんにお持ち帰りされていたかもしれないっていうの!?

あんなに私たちみたいな相手を毛嫌いしていそうだったのに、そんなまさか嘘でしょう……。

ショックで両手で頭を抱える私はさておき、社長は「まぁ、ともかく」と話をまとめる。

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