彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
「すごぉーくおいしかったですぅ」
ちょ、望亜奈さんっ。
その声どこから出してるんですか。
またもや目がハート。
でも、確かにすごくおいしかった。
「うわぁ、デザートも楽しみです」
「お友達とシェアできるようにするね。じゃあもう少し待っててね」
「ありがとうございますぅ」
だから望亜奈さん。けっこうそれって。
普段はサッパリした性格の望亜奈さん。だけどイケメンの前だと豹変してしまうんだよね。
綺麗系なんだからキリッとしておけばいいのに。
「望亜奈さん、もしかして。朔也さんも観賞用?」
「あったりまえじゃない。あーんなイケメンと一緒の空間で長時間いたら息継ぎだって怪しいわよ」
息継ぎって。
それでもイケメンが好きって言い切っちゃうんだからそれはそれですごいと思う。
「桃ちゃんはさ、ちゃんと育んどきなさいよ。その恋心をね」
今、ご飯おいしかった話をしてたはずなのに急にいうなんて、ズルイ。
でも、それって育てちゃまずいんじゃないでしょうか。
ていうか育てていいんでしょうか?
だって上司だし。
「でもさー。主任のネクタイをこうやって緩めるトコとか、メガネをはずすトコとか見てみたいわぁ」
「それ、かなりのプライベートタイムじゃないと見れないんじゃないですか?」
「うん、だから桃ちゃん。よろしくねー」
何を大妄想してんでしょうか、望亜奈さん。
でも、ちょっと想像してみたり……
「だからっ。そういうの期待しないで下さい!」
「まぁまぁいいから。育くんどきさないって」
何を言ってもダメみたいで。
うーん。
望亜奈さんに言ったの失敗だった?
この後、デザートもおいしくシェアして望亜奈さんにランチ代ご馳走になって、大満足で家に帰った。
望亜奈さんに散々茶化されたけど、今の気持ちを打ち明けたことでちょっとだけ軽くなった。
上司だしこれ以上踏み込んじゃダメって思ってたけど、いいのかな?
主任に褒められたくて、仕事ももっと頑張って、
そしたら少しでも主任に近づけるかな?
勝手に思って勝手に頑張るだけだから。
だからこの気持ちを自分の中で育てることを許してください。