彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
「潤にぃこそっ」
「俺は何着ても似合うんだよ」
……絶句。
確かに、昨日。こんなにかっこよかったっけ?って思ったよ。
今日も仰るとおりすごくかっこいいよ。
でもね、謙遜って言葉を知りませんか?
「桃、おまえそこ突っ込むトコだろ?」
片眉を上げて少し不機嫌そうに言う潤兄。
え?だって、そうだなーって思ったし。
「この前ね、桃華ちゃんの浴衣と一緒に買ったのよ」
「へ~そうなんですねー」
もう潤兄と話してたら疲れるから叔母さんの話に乗ってみる。
「そうそう、その時に桃華ちゃんの話、凛子(リンコ)にしたんだったわ」
……何か、嫌な予感がする。
その時スリッパの音がしてお母さんが玄関にやってきた。
「桃華ちゃん、玄関で立ち話してないで入ってもらって?」
「あ、ごめんなさいっ、どうぞ」
リビングのテーブルにはすでに軽く宴会?の準備がされている。
「本当はお赤飯にしようと思ったんだけど、屋台とかでも食べたいかと思ってつまみにしておいたわ」
「お赤飯って……」
「桃華ちゃん。それで?あのイケメンはどなたなの?」
と、突然叔母さんが質問してきた。お赤飯に突っ込み入れてる場合じゃない。
お母さんからの前情報なかったら何の事やらサッパリわからないところだったけど。
「だからっ会社の上司ですって」
さっきから何度も言いたくて言えなかったその答えを叫ぶように言う私。
最初っからただの上司だって言ってるのに。
これでわかったでしょう?って顔で叔母さんを見ると、
「あら、凛子たちと同じ社内恋愛なのね」
だから、あの、ただの上司だって説明今しましたよね?
さすがお母さんの姉だけあって、早とちりも一緒。しかも話を聞かない所までそっくりだ。
「……社内恋愛ねぇ」
潤兄が隣でそう呟いたのは聞こえてた。
けれど、片眉を上げて不機嫌な顔になっていたことには気づきもしなかった。