彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
今日もまた金曜で忙しそうな時間に来てしまったけど、


「急に来て大丈夫なんでしょうか?」

「なんとかするでしょう、朔也ですから」


一向に動じない様子の主任。
そうなのかもしれないけど、やっぱり気にしてしまう。


「それよりメニュー、変わったみたいですよ?デザートも」

「え?」


入り口には新メニューのお知らせ。
絵や写真がのってるわけじゃないけど、秋のメニューって書いてあるからそれだけでおいしそう。


「行きますよ」


主任のあとについて店内へ。
すぐにスタッフの人が「お待ちしておりました、堂地様。こちらへどうぞ」と、にこやかに笑みを浮かべ奥の席に案内してくれた。
あぁこの席は、私が酔いが回って迷惑をかけた時のあの席。

大丈夫。
今日はあんな風にならないし。


「桃華ちゃん、久しぶり」


そう、朔也さんに会うのは久しぶり。
何度かランチ時間には来てるけど、忙しくて会えずじまい。
夜の時間はほんと久しぶりだから数ヶ月会ってないことになる。


「こんばんは、またお邪魔しちゃいました」

「純哉に、桃華ちゃん独り占めすんなって言ってたんだよね」

「独り占めって、別に―――」
「おい、いいから早く持ってこいよ。新しいメニューなんだろ?」

「おぉ、こわっ。桃華ちゃんごめんねぇ、純哉があいかわらずで」

「……いえ」


他にどういう風に答えていいやら。
二人が仲いいのはわかったんだけど、それにしても主任変わりすぎです。


すぐに朔也さんは奥へと戻り、主任と二人きり。

二人でいるのに慣れたとはいえ、仕事時間でもなく共通の会話なんて仕事以外はない。
こういう時ってほんとに何を話していいやら……


「外回りは慣れましたか?」

「いえ、あの、はい」


急に仕事の話をふられて、曖昧というかどっち?って突っ込まれそうな返事をする。
だって急に仕事の話をするなんて思わなかったし。
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