彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
結局それ以降話は続かずに無言。
主任って普段から無駄話しないっていうか、私も仕事以外の話をしたのはコーヒーを就業時間後にいれてからのこと。
朔也さんは主任の家によく行くみたいだけど、どういうこと話してるんだろ。

いや、もしかして私とだから会話が続かないのかな。


「桃華ちゃん、おまたせー」


目の前に置かれたお料理に目を奪われる私。
そんな姿を主任が目を細めてみているなんて事は全く思いもしない。


「そうそう、メニュー来週から変わっちゃうんだよね」

「え?そうなんですか?」


平日と休日のメニューが違うのは何度も聞いていたから、それが食べられないのは残念ていうか……


「桃華ちゃんさえよければ、純哉とおいで」

「おい、俺の予定は無視かよ」

「どうせ予定ないだろ?」


って主任に振り向いて見せた朔也さんの意地悪そうな笑みに、ちょっとだけぞっとして。
やっぱり朔也さんの笑みは計算されつくしたものなのかと改めて思う。
ほんとこの人の毒牙にかかったら……


「……ないよ」

「だって?桃華ちゃん。明日でも明後日でもいいよ?どっちも来てくれてもいいけどね?」

「いえ、さすがにそういうわけには……」


だって貴重な主任の休日を私がつぶすわけにはいかないから。
なんかいつもこうやって朔也さんに無理やり約束させられてる気がするけど。
朔也さんは主任の食生活を心配してのことだから。


「じゃ、明日がいいかな?次の日お休みだしお酒も飲めるもんね」


朔也さんのこの一言で明日の予定が決定したらしいです。


「休みでも酒はないだろ」

「まーたそんな硬い事言って、この前も飲めたし大丈夫だよね?桃華ちゃん」

「はい!」


主任は眉間にシワを寄せかなり不機嫌。
週末の予定を勝手に決められたんだから当然といえばそうなんだけど。


「ほら、だからさ。お前は過保護過ぎだって何度言ったら―――」
「だったら、俺も飲むからな」

「いいよ、うまい酒用意しとく。じゃ、またね、桃華ちゃん」

「はい、ありがとうございます」


お酒でなんとか納得してくれたらしい主任。
どんな形でも、明日も会えるのは嬉しいな。
< 190 / 439 >

この作品をシェア

pagetop